錐体外路症状(EPS)とうつ病の関係~抗うつ薬によるドーパミンの抑制が影響~

錐体外路症状(EPS)とうつ病の関係~抗うつ薬によるドーパミンの抑制が影響~
錐体外路症状(EPS)とうつ病の関係~抗うつ薬によるドーパミンの抑制が影響~

錐体外路症状とは

錐体外路症状(すいたいがいろしょうじょう)とは、抗うつ薬などを長期間服用したときにドーパミンの過剰な遮断によって出現する症状のことを指しています。
錐体外路とは自分の意思とは関係なく現れる運動と緊張を支配している神経経路のことであり、錐体路(自分の意思で支配している神経経路)との協調によって私たちは随意的に運動することができるシステムになっています。
しかし、錐体外路症状の出現によって、日常生活が困難になることがあります。錐体外路症状には「筋緊張亢進(筋緊張が進むこと)」「筋緊張低下」が見られます。

筋肉が硬くなったり、自発的な動作が
少なくなる運動減少症状(筋緊張亢進)

運動減少症状(筋緊張亢進)には「筋固縮」「寡動」「無動」と呼ばれる症状が現れます。筋緊張が亢進してしまい、自分の意思とは関係なくパーキンソン症状のように動作が干満になってうまく動かなくなったり、抵抗が強くなり動かなくなることがあります。

手足の震えや姿勢を保てないなどの
異常が見られる運動過多症状(筋緊張低下)

運動過多症状(筋緊張低下)には、「振戦(ジスキネジア)」「舞踏運動」「片側バリズム」「アテトーゼ」「ジストニア」と呼ばれる症状があります。筋緊張が低下してしまい、自分の意思とは関係なく絶えず歩き回ったり、無意識に口が動いたりすることがあります。

錐体外路症状の種類

固縮

固縮とは「強剛」と呼ばれることもあり、「歯車様強剛(はぐるまようきょうごう)」と「鉛管様強剛(えんかんようきょうごう)」に分類することができます。
歯車様強剛とは、パーキンソン病に見られる特徴的な固縮であり、筋肉がこわばり、ひじや手首、手足の曲げ伸ばしなど関節がスムーズに動かなくなります。
鉛管様強剛とは、多動的に動かした際にギシギシと抵抗を感じるもので、特別に異常や異変がないにもかかわらず引き起こされる非特異的な固縮です。

無動

無動とは、動作を行うまでに時間がかかりなかなかできず、動作そのものも緩慢となるのが特徴の症状です。
症状が進行することによって動けなくなってしまうこともあります。先ほどの固縮においても動作が遅くなる原因となっていますが、別の症状として捉えられています。
自発的な動作が少なくなってきた状態のことを「寡動」と呼んでおり、日常生活の動作において明らかに症状として現れます。
動作に時間がかかることを「動作緩慢」と呼んでおり、着脱衣や寝返りなどが難しくなってきます。
動作できなくなってしまうことを「無動」と呼んでおり、パーキンソン病でみられる顔の表情が硬くなる「仮面様顔貌」、最初の一歩が出ないなどの「すくみ足」といった症状は無動によるものです。

振戦

振戦とは、手や足、そのほかの部位に起こる「ふるえ」のことを指しています。ふるえの状況によって「静止時振戦」「姿勢時振戦」「運動時振戦」に分類されています。
パーキンソン病においては初発症状として最も多い症状で、何もしていないときにふるえが起こる「静止時振戦」が見られ、動作時にはなくなることが特徴です。
片側の手に症状が現れるようになり、進行することによって同側の足にも現れます。その後、対側の手足に症状が現れるという特徴を持っています。

舞踏運動

舞踏運動とは「コレア」と呼ばれることもあり、手足や顔にみられる規則性のない落ち着きのない動きのことを指しています。
動きはパターン化されたものはなく、顔をしかめたり、首を回したり、手足を曲げ伸ばししたりといった比較的早い動きであることが特徴です。脳血管障害が原因として現れる、パターン化された激しい動きの「片側バリスム」と連続して現れることもあります。

片側バリズム

片側バリズムとは、脳血管障害や高血糖などが原因によって出現する症状で、一定のパターンによる動きで、手足を投げ出すような激しい動きであることが特徴です。体の片側に激しい投げ出すような運動が連続で起こります。
脳血管障害などの疾患によって大脳基底核の下部に障害が引き起こされるもので、視床から大脳皮質への神経線維連絡が増大することによって出現する症状だと考えられています。

アテトーゼ

アテトーゼとは、顔や首にみられる長い動きが特徴で、ゆっくりとねじれるような運動が出現します。周産期異常による脳性まひなどが原因で、線条体、視床下核、黒質、赤核などが障害されることによって生じる症状です。
アテトーゼのみが出現することはまれで、舞踏運動やジストニアなどを伴って出現することが多いことが特徴です。

ジストニア

ジストニアとは、筋収縮が持続的にみられることによって、姿勢がねじれてしまったり、硬直や痙攣などの異常が見られる症状のことを指しています。この姿勢異常や運動についてはパターン化されており、日によって動きが変わるということはありません。
常に同じ動きをするということもあれば(常同性)、ある動作をきっかけに症状がでるということ(動作特異性)もあります。起床時には症状が軽いという場合(早朝効果)もありますし、感覚的な刺激によって症状が軽くなる(感覚トリック)場合もあります。

錐体外路症状の原因

錐体外路症状は、脳内の神経伝達物質の異常によって「運動減少(筋緊張亢進)」「運動過多(筋緊張低下)」が引き起こされた状態のことを指しています。
原因となる脳内神経伝達物質には「ドーパミン」「アセチルコリン」が関連していると考えられており、ドーパミンはD2受容体の遮断や減少によって、アセチルコリンは増加することによって錐体外路症状が現れます。
関連する脳部位は、黒質、線条体(尾状核、被殻)、淡蒼球、視床、大脳皮質、脊髄です。
パーキンソン病やパーキンソン症候群、薬剤性パーキンソンニズムなどによって脳内神経伝達物資に異常を引き起こすことが原因であると考えられています。
抗精神病薬の副作用によっても錐体外路症状を引き起こしてしまうことがあります。
特に抗うつ薬や抗精神病薬には副作用を引き起こしやすいものもあり、ときには危険な副作用を引き起こしてしまうこともあるので注意が必要です。
抗うつ薬や抗精神病薬の副作用は命の危険を伴うようなものではありませんが、錐体外路症状を引き起こした場合にはたいへん不快に感じますから、必要に応じて断薬や減薬、抗パーキンソン病薬が処方されることもあります。

錐体外路症状の原因となる
抗うつ薬や抗精神病薬について

抗うつ薬や抗精神病薬の副作用として、手足が震える、動作が鈍くなる、目が上を向いたままになるといった錐体外路症状が報告されています。
抗精神病薬には、「従来型抗精神病薬(定型抗精神病薬)」と「新規抗精神病薬(非定型抗精神病薬)」に分けられますが、従来型抗精神病薬は脳内物質であるドーパミンを抑制することから、脳内機能を低下させて錐体外路症状を引き起こすような副作用が生じることがあるのです。そのような副作用を予防するために予防的に抗パーキンソン病薬が処方されることもあります。
そのため従来型抗精神病薬においては、薬剤による治療が大きな問題となり、錐体外路症状など副作用の少ない「新規抗精神病薬」が用いられるようになったのです。
また近年、うつ病に対して処方されている抗うつ薬の一種であるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)においても錐体外路症状が報告されています。
旧来から使用されていた三環系抗うつ薬には副作用が多く、より副作用の少ない抗うつ薬として登場したのがSSRI系の抗うつ薬です。
しかしSSRI系の抗うつ薬においても錐体外路症状を引き起こすことがあることが分かっており、アカシジア、パーキンソニズム、ジストニア、ジスキネジアといった症状が報告されています。
気になる症状がみられる場合においては、すぐに主治医に相談するようにしましょう。ここではSSRI系の抗うつ薬をご紹介しておきます。

ストレスやうつ症状について
せひご相談ください!

レクサプロ

レクサプロは、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に分類される抗うつ薬で、一般名は「エスシタロプラム」、2011年に発売開始されたお薬です。SSRI系では一番新しい薬剤になります。
脳内神経伝達物質であるセロトニンの働きを高める作用を持っています。不安や抑うつ症状を改善でき、副作用も少なくマイルドであるために中止しやすいと定評を持っています。

ジェイゾロフト

ジェイゾロフトは、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に分類される抗うつ薬で、一般名は「セルトラリン」、2006年に販売開始されたお薬です。2015年からはジェネリック医薬品も発売されています。
セロトニンの働きに特化している薬剤で、その他の作用を抑えることによって副作用のリスクを軽減させています。うつ病や抑うつ状態に効果があると考えられており、副作用も少ないことから初めてでも使いやすいといわれます。

パキシル
ルボックス/
デプロメール

「パキシル(パロキセチン)」「ルボックス/デプロメール(フルボキサミン)」はSSRI系の薬剤としては最初に登場したものです。現在いずれにおいてもジェネリック医薬品が登場しています。

錐体外路症状の対策

抗うつ薬や抗精神病薬はほかの薬剤と比べて副作用が起きやすいともいえ、特に錐体外路症状を引き起こした場合には、生活上において不快な思いをしなければなりません。
錐体外路症状の対策としては、下記3つがポイントになります。

  • 抗うつ薬や抗精神病薬の用量を減らす
  • 別の抗うつ薬や抗精神病薬に変更する
  • 錐体外路症状に対する治療薬を併用

いずれにおいても自己判断せずに、主治医に相談し対応してもらうようにしましょう。
順番にお伝えしていきます。

抗うつ薬や抗精神病薬の用量を減らす

抗うつ薬や抗精神病薬を長期にわたって服用している場合には、「遅発性ジスキネジア」とよばれる錐体外路症状を引き起こすことがあります。慢性化すると薬を中止しても治りにくいことがありますので、早期に用量を減らす場合があります。

別の抗うつ薬や抗精神病薬に変更する

特に「従来型抗精神病薬(定型抗精神病薬)」を長期服用している場合には、副作用として錐体外路症状を引き起こす場合があります。そのため錐体外路症状など副作用の少ない「新規抗精神病薬」に変更されることがあります。副作用を抑える効果的な対処法の一つだと考えられています。

錐体外路症状に対する治療薬を併用

抗うつ薬や抗精神病薬によって錐体外路症状を引き起こした場合、その副作用を抑えるパーキンソン病薬(タスモチン、アーテンなど)が処方されることがあります。

うつ病の治療は
抗うつ薬だけではありません

うつ病の主な治療方法は抗うつ薬が主流ですが、近年では医学の発達により、抗うつ薬を選択しない治療方法があります。
新宿ストレスクリニックでは、薬に頼らない治療方法「磁気刺激治療(TMS)」を中心とした、うつ病治療を提案しています。

磁気刺激治療(TMS)とは?

磁気刺激治療(TMS)とは、磁気を脳にあて、磁気の刺激によって脳の血流を整え、うつ病を回復へと促します。磁気刺激治療(TMS)の主な特徴は、「副作用がほとんどない・入院の必要がない・治療期間が約1ヶ月半~6ヶ月と短期間でうつ病を改善させる」などがあります。
電気けいれん療法とも異なり、心身への負担も少ないとされています。
抗うつ薬の副作用でお悩みの方や抗うつ薬への抵抗がある方、心身に負担が少ない治療を行いたい方に選ばれている治療方法です。
また、新宿ストレスクリニックでは、磁気刺激治療(TMS)と並行して、公認心理師・臨床心理士のカウンセリングも定期的に行っているので、不安や心配に思うことも話しやすい環境を整えています。いつでもお気軽にご相談ください。

短期間の治療が可能です!
薬に頼らない新たなうつ病治療があります!

うつ病かどうかが分かる
「光トポグラフィー検査」とは?

抗うつ薬を使用している患者さんの中には、本当に自分がうつ病であるかを疑問に思う方もいらっしゃるようです。
そこで、新宿ストレスクリニックでは、患者さんにもご自身で現在の状態を把握した上で、医師の問診が受けられる光トポグラフィー検査を導入しています。
光トポグラフィー検査は、厚生労働省認可の検査であり、結果をグラフデータで客観的に見ることができます。
検査結果は、うつ病・双極性障害(躁うつ病)・統合失調症・健常の4パターンをそれぞれ波形のグラフデータで確認できます。
従来、うつ病の問診は、医師の主観のみで診断されることが多く、誤診も少なくはありませんでした。例えば、双極性障害(躁うつ病)と診断されたのに、うつ病であったといった事例も実際に起きています。双極性障害(躁うつ病)とうつ病の治療は全く異なります。
もし、しっかりと抗うつ薬を飲んでいるのに、なかなか回復しない…といった状況であれば、新宿ストレスクリニックでは、セカンドオピニオンを受付けているので、ぜひお気軽にご相談ください。
光トポグラフィー検査の結果と医師の問診を併せて、より正確な診断を受けることをおすすめします。

状態を正確に知ることが大切です!
うつ病かどうかをグラフデータで診断サポート!

本 将昂

【監修】本 将昂医師

2011年京都大学医学部卒業。現在、新宿ストレスクリニックの名古屋院院長。それぞれの患者さんにとって何か最善であるかを考え、患者さんfirstの精神で治療を行います。
精神保健指定医 日本精神神経学会認定精神科専門医

新宿ストレスクリニックでは、うつ病かどうかが分かる「光トポグラフィー検査」や薬を使わない新たなうつ病治療「磁気刺激治療(TMS)」を行っております。
うつ病の状態が悪化する前に、ぜひお気軽にご相談ください。

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