チョコレートとうつ

チョコレートとうつ
うつ病とチョコレート(英語:chocolate)の関係とは?

一息つきたいときの手軽なお菓子として、チョコレートは非常に親しまれています。
近年、健康に与える影響について活発に研究され、その成果がたくさん報告されてきました。カカオポリフェノールによる血圧低下や抗酸化作用などは比較的有名で、多くの人が一度は耳にされていると思います。
メンタルヘルスでも例外ではなく、うつやストレスとどのように関連しているのか研究が続けられています。
今回はチョコレートとメンタルヘルスについて解説します。

チョコレートは気分や
ストレスを軽くする

チョコレートは、今でこそ入手も簡単で、皆に愛される定番のお菓子のひとつですが、昔から今のような地位にあったわけではありません。
紀元前から南米で飲まれていたチョコレートは、16世紀にスペインに持ち込まれた後、当初は王侯貴族の薬や贅沢品としてヨーロッパ大陸に広がりました。
19世紀にチョコレートパウダー(ココアの原型)や“食べる”チョコレートが発明され、さらに粉ミルクを加えたミルクチョコレートが開発されるに至り、世界中で広く愛されるようになりました。
現在では、その健康面への作用が改めて注目されており、関連する様々な研究成果が発表されています。メンタルヘルスに関しても同様で、ポジティブな気分をもたらし、ストレスを軽減する作用などについて報告されています。

  • 米国の1.3万人以上の成人を対象にした「チョコレートの消費と抑うつ症状との関連」についての調査(注1)では、高カカオチョコレートを摂取している人は、抑うつ症状の可能性が低いと報告しています。 この研究では、「チョコレートの摂取の有無」に加えて、「摂取しているチョコレートの種類(高カカオチョコレートか、それ以外か)と一日の摂取量」と抑うつ症状の関係について調査しています。 その結果、非高カカオチョコレートの摂取による影響は認められませんでしたが、高カカオチョコレートを摂取している人は有意に抑うつ症状の可能性が低かったとのことです。
  • 米国ゲティスバーグ大学が行った「チョコレートと幸福感の増加」についての調査(注2)では、258人を対象に、チョコレートとクラッカーを、注意深くか無造作に食べるという4つのグループに分けて行われました。結果としては、注意深くチョコレートを食べたグループは、他の3つのグループよりも前向きな気分を高めたとのことです。
  • スイスで行われた65人に対する「高カカオチョコレートまたはその偽物(本物に偽装したホワイトチョコレート)50gを摂取し、2時間後に大きなストレスをかける」という実験(注3)では、高カカオチョコレートを摂取したグループは、偽物を摂取したグループよりもストレス反応が鈍化していたことが明らかになり、高カカオチョコレートがストレス反応を緩和できると報告しています。

チョコレートと
脳由来神経栄養因子(BDNF)

チョコレートの過剰摂取は禁物です!

2014年に株式会社明治と愛知学院大学の産学共同研究として、チョコレート摂取と健康に関する調査(注4)が行われました。
この調査は45~69歳の347人を対象に、高カカオチョコレートを1カ月間毎日一定量摂取し続け、その間の身体状態の変化を追跡するというものです。結果報告によるとチョコレートの摂取の前後で「脳由来神経栄養因子(以下BDNF)」の上昇が認められたとのことです。

BDNFは、神経細胞の維持や成長に関わる、脳細胞の増加に不可欠な物質です。「栄養」といっても生存に必要なものという意味合いで、ビタミンや炭水化物などの「栄養素」とは異なります。
BDNFはアルツハイマー病患者やハンチントン病患者で減少することが報告されています(注5)。

BDNFとうつ病

BDNFはうつ病にも関連していると考えられています。
2010年の『精神神経学雑誌』に掲載されたBDNFに関する論文(注6)では、大うつ病患者は健常者よりもBDNF濃度が低く、さらに抑うつ症状が強い患者ほどBDNF濃度が低かったと報告しています。

BDNFの減少が神経可塑性(脳が学習するための性質)を障害してうつ病を引き起こすという仮説は「神経可塑性仮説(BDNF仮説)」と呼ばれ、当院で行っている磁気刺激治療(TMS治療)は、この「神経可塑性仮説」との関連が強いうつ病の治療法です。

食べすぎにはご注意を

チョコレートに頼らず医者の治療を。2008年に国民生活センターは、高カカオチョコレートの過剰摂取に対して注意喚起しています(注6)。
チョコレートはもともと脂質量が多い高カロリーな食品ですが、高カカオチョコレートは普通のチョコレートよりもさらに脂質量が多く高カロリーになります。
チョコレートは主に間食として食べると思いますので、1日の食事のバランスなどを考慮しながら、上手に付き合いましょう。

<脚注>

本 将昂

【監修】本 将昂医師

2011年京都大学医学部卒業。現在、新宿ストレスクリニックの名古屋院院長。それぞれの患者さんにとって何か最善であるかを考え、患者さんfirstの精神で治療を行います。
精神保健指定医 日本精神神経学会認定精神科専門医

■関連リンク

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