ストレス障害

ストレス障害
ストレス障害

ストレス障害とは

ストレス障害とは、ストレスによって引き起こされる病気で、「ストレス社会」などといわれる現代社会ではとても多くみられるようになりました。
すべての精神疾患においてストレスとの関わりは病気の発症や悪化に大きな影響を与えるものですし、ストレスとどのように付き合っていくのか、向き合っていくのかによって状況が大きく異なります。
その中でもストレス障害は、特定のストレスが大きく関連していることが分かっています。
ストレス障害は心に傷を受けるような出来事を経験し、ストレス反応が持続することによって生活に支障が出ていることで診断されます。大きく次の3種類に分類されます。

  • 急性ストレス障害(ASD)
  • 心的外傷後ストレス障害(PTSD)
  • 適応障害

『急性ストレス障害』はASD(Acute Stress Disorder)と呼ばれることもあり、日常的なストレスによって引き起こされるものではなく、恐ろしい出来事に遭遇するなどによって発症するものです。その出来事を心の中で繰り返してしまい、不安を増大させてしまうのです。
『心的外傷後ストレス障害』はPTSD(Post Traumatic Stress Disorder)と呼ばれることもあり、大事故、犯罪、戦争、暴力、誘拐、自然災害などに巻き込まれることによって発症します。体験を思い出さないようにしても、フラッシュバックを引き起こしてしまいます。
『適応障害』は仕事や家庭内でのストレスなど特定の状況や出来事によって引き起こされる病気です。憂うつな気分や不安感が強くなるような気分に現れることや、会社を無断欠勤してしまったり、イライラしてしまったりなどの行動面に現れることもあります。適応障害との診断が出るまでは、ストレス性のさまざまな不調があるとして「心因反応」という表現が使われることもあります。

ストレスとは

「ストレス」というと決して悪いものではないのですが、心身に反応を生じさせるもので、その反応が好ましくないものになれば「症状」となります。
私たちは気温や湿度の変化、生活リズムの変化などに適応できるような仕組みになっています。これをホメオスタシス(恒常性)と呼んでおり、このホメオスタシスによって外的環境や体内環境の変化があった場合においても、一定に保つことができるようになっているのです。
この気温や湿度の変化、生活リズムの変化は身体の内外から働きかけて、ホメオスタシスに対して歪みを生じさせ、乱してしまう可能性があります。これらの働きをストレスと呼んでいて、ホメオスタシスを乱す原因になっているものをストレッサーと呼んでいるのです。
私たちの心や体に影響を与えてしまうストレッサーには、気温や湿度、騒音、人混みといった「物理的ストレッサー」、薬物や公害物質などの「化学的ストレッサー」、人間関係や仕事・家庭の問題など「心理・社会的ストレッサー」などがあります。
このストレッサーによって引き起こされるストレス反応のメカニズムはまだまだ理解されていない部分も多いですが、心理、身体、行動において影響を受けることになります。
心理面においては意欲がなくなったり、イライラしたり、不安になったりするようなこともあります。身体面において頭痛や肩こり、動悸、息切れ、便秘、下痢などの症状がみられることがあります。行動面においては、集中できずに仕事でミスをしたり、お酒やたばこの量が増えたりすることが考えられます。

ストレス障害発症の原因とは

ストレス障害が発症する原因は、ストレスによるものではありますが、同じストレスを受けたとしてもすべての人が発症するわけではなく、わずか数%に過ぎないといった研究データも存在します。
ストレス障害を発症させるきっかけとして強いストレスを受けることがありますが、そのほかの原因として「気質要因」「遺伝要因」「生理学的要因」なども関連しながら発症すると考えられています。
「気質要因」とはもともと本人が持っている傾向のことをさしており、ストレッサーに対して深刻にとらえすぎる場合や、すでに精神疾患を持っていて症状が現れているような場合においてはストレス障害を増大させる原因になると考えられます。
「遺伝要因」によってストレスを増大させてしまうといった研究結果も存在しますし、女性が発症するリスクが高いといった「生物学的要因」も確認されています。
ストレス障害の種類別に原因を見てみましょう。
『急性ストレス障害(ASD)』においては、生命の危機に瀕するような恐ろしい出来事に遭遇することよって発症します。自分が体験した直接的なものだけではなく、犯罪の現場を目撃するような間接的に体験したものでも発症することがあります。
『心的外傷後ストレス障害(PTSD)』においては、大規模な地震や津波、犯罪、事故などの強い心的外傷が原因であることがわかります。ただし、そのような状況に巻き込まれた人すべてが発症するわけではなく、「気質要因」「生理学的要因」なども関係しながら引き起こされていると考えられます。
『適応障害』は日常生活に感じられるさまざまなストレスによって発症するものです。経済的な問題、人間関係、病気などが複雑に絡み合いながら発症することも少なくありません。

ストレス障害の診断基準

ストレス障害は、アメリカ精神医学会の診断ガイドラインである「DSM‐5」、世界保健機構の診断ガイドラインである「ICD-10」を活用して診断されることになります。

「DSM‐5」「ICD-10」において
急性ストレス障害の診断基準

●診断基準:DSM-5

  • A.実際にまたは危うく死ぬ、重傷を負う、性的暴力を受ける出来事への、以下のいずれか1つ(またはそれ以上)の形による曝露:

    • 1.心的外傷的出来事を直接経験する。
    • 2.他人に起こった出来事を直に目撃する。
    • 3.近親者または親しい友人に起こった出来事を耳にする。
      注:家族または友人が実際に死んだ出来事または危うく死にそうになった出来事の場合、それは暴力的なものまたは偶発的なものでなくてはならない。
    • 4.心的外傷的出来事の強い不快感をいだく細部に、繰り返しまたは極端に曝露される体験をする。
      (例:遺体を収集する緊急対応要員、児童虐待の詳細に繰り返し曝露される警官)。
      注:仕事に関連するものでない限り、電子媒体、テレビ、映像、または写真による曝露には適用されない。
  • B.心的外傷的出来事のあとに発現または悪化している。侵入症状、陰性気分、解離症状、回避症状、覚醒症状の5領域のいずれかの、以下の症状のうち9つ(またはそれ以上)の存在。

    -侵入症状-

    • 1.心的外傷的出来事の反復的、不随意的、および侵入的で苦痛な記憶。
      注:子どもの場合、心的外傷的出来事の主題または側面が表現された遊びを繰り返すことがある。
    • 2.夢の内容と情動またはそのいずれかが心的外傷的出来事に関連している、反復的で苦痛な夢。
      注:子どもの場合、内容のはっきりしない恐ろしい夢のことがある。
    • 3.心的外傷的出来事が再び起こっているように感じる。またはそのように行動する解離症状(例:フラッシュバック)(このような反応は1つの連続体として生じ、非常に極端な場合は現実の状況への認識を完全に喪失するという形で現れる)。
      注:子どもの場合、心的外傷に特異的な再演が遊びの中で起こることがある。
    • 4.心的外傷的出来事の側面を象徴するまたはそれに類似する、内的または外的なきっかけに反応して起こる、強烈または遷延する心理的苦痛または顕著な生理的反応。

    -陰性気分-

    • 5.陽性の情動を体験することの持続的な不能(例:幸福、満足、または愛情を感じることができない)。

    -陰性気分-

    • 6.周囲または自分自身の現実が変容した感覚(例:他者の視点から自分を見ている、ぼーっとしている、時間の流れが遅い)。
    • 7.心的外傷的出来事の重要な側面の想起不能(通常は解離性健忘によるものであり、頭部外傷やアルコール、または薬物など他の要因によるものではない)。

    -回避症状-

    • 8.心的外傷的出来事についての、または密接に関連する苦痛な記憶、思考、または感情を回避しようとする努力。
    • 9.心的外傷的出来事についての、または密接に関連する苦痛な記憶、思考、または感情を呼び起こすことに結び付くもの(人、場所、会話、行動、物、状況)を回避しようとする努力。

    -覚醒症状-

    • 10.睡眠障害(例:入眠や睡眠維持の困難、または浅い眠り)
    • 11.人や物に対する言語的または肉体的な攻撃性で通常示される、(ほとんど挑発なしでの)いらだたしさと激しい怒り
    • 12.過度の警戒心
    • 13.集中困難
    • 14.過剰な驚愕反応
  • C.障害(基準Bの症状)の持続は心的外傷への曝露後に3日~1ヵ月。
    注:通常は心的外傷後すぐ症状が出現するが、診断基準を満たすには持続が最短でも3日、および最長でも1ヵ月の必要がある。

  • D.その障害は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

  • E.その障害は、物質(例:医薬品またはアルコール)または他の医学的疾患(例:軽度外傷性脳損傷)の生理学的作用によるものではなく、短期精神病性障害ではうまく説明されない。

●診断基準:ICD-10

例外的に強いストレス因の衝撃と発症との間に、即座で明らかな時間的関連がなければならない。発症は通常、直後ではないにしても、数分以内である。それに加え、症状は、

  • A.混合した、しじゅう変動する病像を呈する。初期「困惑」状態に加えて、抑うつ、不安、激怒、絶望、過活動、および引きこもりのすべてがみられることはあるが、1つのタイプの症状が長い間優勢であることはない。
  • B.ストレスの多い環境からの撤退が可能な場合、急速に(せいぜい数時間以内で)消失する。ストレスが持続するか、その性質上取り消すことができない場合、症状は通常24~48時間後に軽減し始め、通常約3日後に最小限となる。

この診断は、F60.-「特定のパーソナリティ障害」をのぞくほかの精神科的障害の診断基準を満たす症状をすでに示している個人においては、症状の突然の増悪に当てはめるために用いてはならない。しかしながら、精神科的障害の既往があっても、この診断の使用は許される。

※参考文献
『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)
『ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院)
『カプラン 臨床精神医学テキスト』(メディカルサイエンスインターナショナル)

ストレス障害の治療方法

ストレス障害は、特定のストレスが大きく関連して発症し、ストレス反応が持続することによって生活に支障が出てしまいます。そのため原因となるストレスを取り除き、ストレス障害の発症を予防することが必要です。
本人に対してどのようにすれば安心感を感じられるか、環境づくりを行っていきます。特定の状況や出来事、フラッシュバックなどによって不安が強くなったり症状が現れてしまいますから、そのようなストレスに対して共感や理解を持ってサポートしていかねばなりません。
そのようなサポートの中から、面接を通して考えや気持ちを肯定して励まし、リラクセーションなど心理療法的なアプローチに取り組んでいきます。
また、症状に応じて薬物治療を行うこともあります。
ストレス障害では不安や抑うつ、不眠などの睡眠障害といった症状が現れることがあります。そのため症状にあわせて抗不安薬や睡眠薬、抗うつ薬などが使用されることもあります。
フラッシュバックや抑うつ症状の改善も確認されています。
ストレス障害は、早い段階から専門医に相談し、専門的な治療を受けることが重要であるといえるでしょう。

ストレスやうつ症状について
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ストレス障害とうつ病

ストレス障害は特定にストレスが原因で発症するもので、不安や抑うつ症状が強く現れることからうつ病を併発させることも珍しくありません。
ストレス障害では、病気を引き起こしたストレスがはっきりとしており、その部分がうつ病と違う点であると考えられています。
うつ病においてもストレスが直接的な原因によって発症するものとイメージされていることが多いですが、発症のきっかけは明らかにならないことが多いのです。
近年の研究では、うつ病はストレスが原因による「心の病気」ではなく、脳内の神経伝達物質の働きが乱れることによって引き起こされるものだと考えられています。その発症のきっかけの一つが「ストレス」になることがあるのです。
つまりストレス障害を引き起こしたストレスによって、脳内の神経伝達物質の働きが乱れ、うつ病を発症させてしまうことがあります。
そのためストレス障害とうつ病を併発させてしまったり、うつ病からストレス障害を併発させてしまうので珍しいことではないのです。
特にうつ症状特有の「抑うつ症状」「意欲の減退」「不眠」などが継続している場合には、うつ病の可能性が高いといえます。

ストレス・うつ病の新しい治療法

新宿ストレスクリニックでは、ストレスとうつ病の新しい治療法を提供しています。
ストレスを軽減させたい、ストレスによって引き起こされるうつ病を未然に防ぎたい、うつ病を発症したが治療法がよく分らない、抗うつ薬を飲んでいるが副作用が辛いなどといった患者さんが来院しています。
うつ病は環境的要因・精神的要因・身体的要因がきっかけで発症することもあり、ストレス社会の現代ではうつ病に悩まされる方が少なくはありません。
うつ病はうつ病の専門治療が必要となります。その治療がなるべく患者さんの負担にならないよう、新宿ストレスクリニックでは、磁気によるうつ病治療「磁気刺激治療(TMS)」を専門に行っています。

磁気刺激治療(TMS)とは?

磁気刺激治療(TMS)とは?

磁気刺激治療(TMS)は、磁気を脳にあて、磁気の刺激によって脳の機能を回復させる治療法です。入院や手術の必要はなく、リラックスした状態で治療を受けることができます。

磁気刺激治療(TMS)とは?

治療回数を重ねる毎に、回復の実感があり、何より抗うつ薬のような副作用の心配がいりません。既に抗うつ薬を服用している患者さんも受けることが可能です。患者さんの中には、抗うつ薬の使用をゼロにされた方もいます。
特に、他の精神疾患や身体疾患がある方は心身に負担が少ないうつ病治療として安心して並行した治療ができます。
ストレス過多の状態で、抑うつ状態がある場合も、磁気刺激治療(TMS)を受けることにより、気分がしっかりリフレッシュし、うつ病の重症化を未然に防ぐことも可能です。

短期間の治療が可能です!
薬に頼らない新たなうつ病治療があります!

うつ病かどうかが分かる光トポグラフィー検査

うつ病は診断が難しい病気とも言われています。医師の主観のみの問診で、双極性障害(躁うつ病)と診断され、実はうつ病であったという例も少なくはありません。
双極性障害(躁うつ病)とうつ病は治療方法が異なるため、誤診によりなかなか改善しないという事態にもなりかねません。
そこで、新宿ストレスクリニックでは、厚生労働省認可の光トポグラフィー検査を導入し、医師の問診と併せた、より正確な診断を実現させました。
光トポグラフィー検査はうつ病・双極性障害(躁うつ病)・統合失調症・健常と4つのパターンを現在の状態をグラフデータで現します。検査当日に結果をお渡しすることも可能であり、何より現在の状態がしっかりと正確に把握できるところが症状の回復への第一歩となります。
原因が分からないまま治療するよりも、その原因に特化した治療を行うことが重要です。
お困りの症状がある方は、まずは光トポグラフィー検査を受けてみることをおすすめします。

状態を正確に知ることが大切です!
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その他に、ストレス測定といったセンサーを指先にセットして、自律神経バランスを分析することで、ストレス状態が分かる検査もあります。
自律神経バランスが乱れたり、抹消神経の活動が弱くなったりすると、体調不良、基礎代謝の低下などの原因につながります。さらにストレスを溜め込むと、うつ病のリスクも高まります。だからこそ、自身のストレス状態を早めに知り、生活習慣や環境の改善をすることが大切です。

ストレスは人間が生きてく上では、必要不可欠ですが、ストレス過多はさまざまな不調を引き起こします。日常生活に支障をきたしている状態であれば、早めに専門の医療機関へ相談しましょう。精神的不調は身体にも影響します。健やかな人生を送るために、精神面のケアについても考えていきましょう。

ストレスやうつ症状について
せひご相談ください!

本 将昂

【監修】本 将昂医師

2011年京都大学医学部卒業。現在、新宿ストレスクリニックの名古屋院院長。それぞれの患者さんにとって何か最善であるかを考え、患者さんfirstの精神で治療を行います。
精神保健指定医 日本精神神経学会認定精神科専門医

新宿ストレスクリニックでは、うつ病かどうかが分かる「光トポグラフィー検査」や薬を使わない新たなうつ病治療「磁気刺激治療(TMS)」を行っております。
うつ病の状態が悪化する前に、ぜひお気軽にご相談ください。

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