ストレス障害

ストレス障害
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ストレス障害とは

ストレス障害とは、ストレスによって引き起こされる病気で、「ストレス社会」などといわれる現代社会ではとても多くみられるようになりました。
すべての精神疾患においてストレスとの関わりは病気の発症や悪化に大きな影響を与えるものですし、ストレスとどのように付き合っていくのか、向き合っていくのかによって状況が大きく異なります。
その中でもストレス障害は、特定のストレスが大きく関連していることが分かっています。
ストレス障害は心に傷を受けるような出来事を経験し、ストレス反応が持続することによって生活に支障が出ていることで診断されます。大きく次の3種類に分類されます。

  • 急性ストレス障害(ASD)
  • 心的外傷後ストレス障害(PTSD)
  • 適応障害

急性ストレス障害(ASD)

急性ストレス障害は、ASD(Acute Stress Disorder)と呼ばれることもあり、日常的なストレスによって引き起こされるものではなく、恐ろしい出来事に遭遇するなどによって発症するものです。それは、直接的な出来事と間接的な出来事である場合があります。直接的な出来事には、心身に重篤なけがや死ぬかもしれないといった事故などの経験があげられます。一方間接的な出来事の場合は、目の前で他人に起こった出来事を目的することや身近な人や友人、家族に起こった出来事などがあげられます。その出来事を心の中で繰り返し体験してしまい、不安を増大させてしまうのです。急性ストレス障害(ASD)の患者さんの中には、解離症状を示す場合があります。解離症状とはある精神的ストレスをきっかけに、自分という感覚を失ったり、ある出来事の記憶がすっぽり抜け落ちていたり、いつの間にか知らない場所にいるなどの症状をいいます。経験した出来事が強烈なほど、急性ストレス障害(ASD)に発症する可能性が高くなります。

心的外傷後ストレス障害(PTSD)

心的外傷後ストレス障害は、PTSD(Post Traumatic Stress Disorder)と呼ばれることもあり、大事故、犯罪、戦争、暴力、誘拐、自然災害などに巻き込まれることによって発症します。体験を思い出さないようにしても、フラッシュバックを引き起こしてしまいます。
急性ストレス障害(ASD)の延長で発症することもあり、強烈なショック体験や強い精神的ストレスなどを経験してから数週間、時には何年もたってから症状が出る場合があります。心的外傷後ストレス障害(PTSD)の主な症状は、いわゆるトラウマを思い出させるようなきっかけに触れたときに急に思い出し、感情が不安定になったりします。また、そのトラウマとなっている状況を回避しようとします。例えば川で溺れた場合は、お風呂の水さえも怖くなったりします。そして、そのきっかけとなる出来事から身を守るために常に警戒していることもあり、ストレスを感じる緊張状態が続く症状があったりもします。

適応障害

適応障害は、仕事や家庭内でのストレスなど特定の状況や出来事によって引き起こされる病気です。憂うつな気分や不安感が強くなるような気分に現れることや、会社を無断欠勤してしまったり、イライラしてしまったりなどの行動面に現れることもあります。
そのストレスからどうしても離れられない、解消できないといった場合はますます症状は悪化していきます。適応障害発症から5年後には40%以上がうつ病という診断名が付けられる場合があります。適応障害の主な症状は、不安や落ち込み、不眠、焦り、怒りなどさまざまな症状が現れます。適応障害との診断が出るまでは、ストレス性のさまざまな不調があるとして「心因反応」という表現が使われることもあります。
また、精神面や行動面の症状の度合いによっては、日常生活に支障をきたすほどの強い抑うつ感や不安が出現します。これまで送ってきた日常生活が続けられなくなることが多くあります。
また、強い不安から攻撃的になり、他害行為に及ぶ場合もあります。
ストレスの蓄積を長引かせている場合は、休みの日でもリラックスができなくなってしまうこともあり、その状態が続くことでうつ病を発症させてしまうことも少なくはありません。

ストレスとは

「ストレス」というと決して悪いものではないのですが、心身に反応を生じさせるもので、その反応が好ましくないものになれば「症状」となります。
私たちは気温や湿度の変化、生活リズムの変化などに適応できるような仕組みになっています。これをホメオスタシス(恒常性)と呼んでおり、このホメオスタシスによって外的環境や体内環境の変化があった場合においても、一定に保つことができるようになっているのです。
この気温や湿度の変化、生活リズムの変化は身体の内外から働きかけて、ホメオスタシスに対して歪みを生じさせ、乱してしまう可能性があります。これらの働きをストレスと呼んでいて、ホメオスタシスを乱す原因になっているものをストレッサーと呼んでいるのです。
私たちの心や体に影響を与えてしまうストレッサーには、気温や湿度、騒音、人混みといった「物理的ストレッサー」、薬物や公害物質などの「化学的ストレッサー」、人間関係や仕事・家庭の問題など「心理・社会的ストレッサー」などがあります。
このストレッサーによって引き起こされるストレス反応のメカニズムはまだまだ理解されていない部分も多いですが、心理、身体、行動において影響を受けることになります。
心理面においては意欲がなくなったり、イライラしたり、不安になったりするようなこともあります。身体面において頭痛や肩こり、動悸、息切れ、便秘、下痢などの症状がみられることがあります。行動面においては、集中できずに仕事でミスをしたり、お酒やたばこの量が増えたりすることが考えられます。

ストレス障害の症状と徴候

ホメオスタシス(恒常性)の3大システムが「自律神経系」、「内分泌系」、「免疫系」といわれ、これらのバランスを崩す要因がストレスと考えられています。
それぞれのストレス反応を見ていきましょう。

自律神経系のストレス反応

自律神経は、ホメオスタシス(恒常性)を維持する働きをしているので、生命維持に欠かせない神経です。私たちは食事をすれば胃が消化活動を行い、腸が活発になります。暑い時は汗をかいて体温を下げ、寒い時は体を震えさせて対応を上げるなどの調節を行います。
このように自分の意思とは関係なく、自律神経は生命維持のために働いています。
自律神経には、交感神経と副交感神経の2つの神経があります。
交感神経は身体の行動を活発にする神経であり、副交感神経は身体を休める神経です。
これらの神経が、過度なストレスによってバランスを崩した状態を自律神経失調症といいます。
自律神経失調症は、心身にさまざまな不調をもたらします。身体的痛みや精神面の落ち込みなどがあるので、両方のケアが必要な場合があります。

内分泌系のストレス反応

内分泌系とは、身体のさまざまな機能の調節や抑制のために、ホルモンを生成して分泌する腺や器官の集まりをいいます。
ホルモンを生成する主な期間は、視床下部・下垂体・甲状腺・副甲状腺・膵臓・副腎・性腺などがあります。ストレス反応の主な仕組みは、視床下部がストレスを感知→下垂体が副腎皮質刺激ホルモンを分泌→副腎が刺激を受け抗ストレスホルモンを分泌することにより、ストレスが緩和されるといった仕組みがあります。しかし、過度なストレスや慢性化されたストレスによって副腎が疲弊してくると、抗ストレスホルモンを分泌できなくなります。それがアドレナリン(副腎髄質)やノルアドレナリン(視床下部)の放出によって、内分泌系に影響します。
その状態が続くことにより、疲労やうつ症状が出やすくなると考えられています。

免疫系のストレス反応

免疫系とは、体内に侵入したウィルスや細菌、腫瘍などを排除する力をいいます。
過度なストレスが蓄積すると自律神経のバランスが崩れ、免疫系も自律神経支配を受けます。
免疫力の低下によりウィルスや細菌などを排除する力が弱ると風邪を引いたり、吹き出物、口角炎など身体にさまざまな影響が出始めます。
また、免疫系は異物に対して攻撃する仕組みであり、白血球の仲間であるリンパ球が担っています。例えば、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)と呼ばれているリンパ球があり、ウィルスや細菌などに感染した組織や生じたがん細胞などを溶解する働きをしています。
そのNK細胞が精神的ストレスによって活性が減少するといわれています。
そのため、心身に影響が出て、心身症や神経症といった症状に進行してしまうことがあります。

ストレス障害の患者数

厚生労働省の患者調査によると、ストレス障害の患者数は年々増加傾向です。
その中でも、平成29年度はうつ病の次に「神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害」が多い患者数となっています。うつ病と共に年々増加傾向であり、ストレス社会の現代ならではの深刻な実態といえます。

ストレス障害の患者数

ストレス障害発症の原因とは

ストレス障害が発症する原因は、ストレスによるものではありますが、同じストレスを受けたとしてもすべての人が発症するわけではなく、わずか数%に過ぎないといった研究データも存在します。
ストレス障害を発症させるきっかけとして強いストレスを受けることがありますが、そのほかの原因として「気質要因」「遺伝要因」「生理学的要因」なども関連しながら発症すると考えられています。

気質要因

気質要因とは、もともと本人が持っている傾向のことを指しており、ストレッサーに対して深刻に捉えすぎる場合や、すでに精神疾患を持っていて症状が現れているような場合においてはストレス障害を増大させる原因になると考えられます。
そもそも気質とは遺伝子レベルで規定された性格であり、個人の示す情動的反応であり、刺激に対する感受性、反応の強さや速さ、その人固有の気分やテンポが含まれています。
そのため、遺伝子レベルで規定された性格、すなわち気質と育った環境、親の信念などがそれぞれ異なるため人間関係で理解の不一致が生まれてストレスが生じます。
その中で、ストレスに対して深刻に捉えすぎている状態とは、不安や嫌悪感、恐れや孤独感などを感じていることと考えられています。
もともと過度に心配性だったり、強いこだわりがあったり、生真面目、神経質、動揺しやすい、敏感であるなどの場合もストレスを感じやすいと考えられています。
また、何らかの精神疾患をもともと発症して、不安や嫌悪感、恐れや孤独感などの症状が出現する可能性もあることも理解しておきましょう。

一方、精神疾患とは、うつ病・双極性障害(躁うつ病)・統合失調症などをいいます。
精神疾患には気分の落ち込みや強い不安、元気なときもあれば急に落ち込んだり、幻聴や妄想などといった症状が出ることがあります。時に日常生活に支障をきたす場合もあり、周りからも理解得がたい性格と思われてしまうことも少なくはありません。
そのため、これらの気質や精神疾患を抱えている方は、世の中に生きづらさを感じることもあります。原因を知ることや改善したのにできないと悩んでいる場合は、一度精神科や心療内科へご相談することをおすすめします。

ストレスやうつ症状について
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遺伝要因

「遺伝要因」によってストレスを増大させてしまうといった研究結果も存在しますし、女性が発症するリスクが高いといった「生物学的要因」も確認されています。
私たちの感情は脳内の神経伝達物質(セロトニン・ノルアドレナリン・ドーパミン・GABA等)の働きによって変動すると考えられ、この神経伝達物質の働きは遺伝子によって異なるとされています。
また、受容体の働き方や組み合わせによって、それぞれの気質や生き方などに特徴があります。
ストレスによるメンタル不調者が多いとされている気質は、「執着気質」・「不安気質」・「新奇気質」といわれています。

執着気質

白か黒や0か100という結果に拘りが強く、几帳面・生真面目・正直・凝り性などの特徴を持ち合わせている気質です。
仕事熱心なため、一生懸命完成させるために軽い興奮状態となり、急にガクッと抑うつ状態に陥りやすい面も持っています。要求水準が高くなかなか満足できないためストレスを溜めやすいといわれています。ドーパミンとの結合が難しい受容体D2R2の存在が考えられています。

不安気質

能面、チック、目に輝きがないなどの特徴があり、悲観的、過度の心配性であり神経質な部分があります。思い込みや妄想を持ちやすい、不安が強いためパニックになることもあります。
セロトニン受容体5-HTTLPR関連の遺伝子があり、セロトニンと結びづらいと考えられています。

新奇気質

前向きであるが、衝動的、逸脱的、攻撃的、短期といった特徴があります。
いきなり行動する行動派であり、興味のあるもの新奇なものに目を輝かせます。思い付きと感覚で行動するので、危機に陥ることもあります。浪費傾向もあり、今を生きるタイプといえます。ドーパミン受容体DRD4関連の遺伝子があり、ドーパミンと結びつきづらく、GAVA遺伝子も関与していると考えられています。

これらの気質はストレス気質といわれる可能性が高く、気質は遺伝子レベルの性格といわれているので、変えることはストレスを増大させてしまうこともあるようです。
自身のそれぞれ気質を理解していくことが大切といわれています。

生理学的要因

「生理学的要因」なども関係しながら引き起こされていると考えられます。
例えば、『適応障害』は日常生活に感じられるさまざまなストレスによって発症するものです。経済的な問題、人間関係、温度や湿度、騒音、振動という環境が関係する生理的圧迫、障害、疲労や睡眠不足、病気などが複雑に絡み合いながら発症することも少なくありません。
人間は心理的・生理的要素・作業環境などの外的な要因、自分でつくり出す内的な要因でストレスを生じさせるといわれています。
ストレスを生じさせてしまう理由の一つは、個々の能力を発揮するために、さまざまな要因に阻害されやすいということです。絶えず思い通りにはいかず、常に一定の限界があるわけではないと理解しておくことも大切と考えます。

ストレス障害の種類別の原因

急性ストレス障害(ASD)

生命の危機に瀕するような恐ろしい出来事に遭遇することよって発症します。自分が体験した直接的なものだけではなく、犯罪の現場を目撃するような間接的に体験したものでも発症することがあります。
具体的な症状は、侵入症状、回避症状、陰性症状、覚醒症状、解離症状という5つの領域から構成されていると考えられています。

  • 1. 侵入症状…フラッシュバックや悪夢が繰り返される症状
  • 2. 回避症状…トラウマ体験となった出来事に対して、回避する感情反応や精神が麻痺する症状
  • 3. 陰性症状…喜びや愛情などの感情が喪失され、恐怖・絶望感などに支配される症状
  • 4. 覚醒症状…イライラ・不眠が精神的緊張状態からあらわれる症状
  • 5. 解離症状…トラウマとなった経験の記憶が抜け落ちる、現実感が失われ自分を外から眺めている感覚に陥る症状

これらの症状は、直接的に体験した本人に限らず、間接的に体験した場合も現れる症状とされています。
また、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と症状などが似ていますが、原因の出来事が起きてから4週間以内に始まり、3日から1ヶ月程で治まるという経過が異なります。
1日~2日程で症状が治まった場合は、急性ストレス障害(ASD)の可能性が低いと考えられています。

心的外傷後ストレス障害(PTSD)

心的外傷後ストレス障害(PTSD)においては、急性ストレス障害と同じように、大規模な地震や津波、犯罪、事故などの強い心的外傷が原因であることがわかります。
急性ストレス障害(ASD)の症状が1ヶ月以上続いている場合に、心的外傷後ストレス障害(PTSD)へと進展すると考えられています。
また、急性ストレス障害・心的外傷後ストレス障害(PTSD)はどちらも一度の外傷的な出来事(事故や犯罪などによる衝撃)が印象的ではあるが、いじめや虐待などの慢性的な対人関係などから生じた出来事が関係する場合は、簡単には診断が下せないことがあります。
このような状態は、「複雑性PTSD」と呼ばれることがあります。

複雑性PTSD(Complex post-traumatic stress disorder、C-PTSD)

複雑性PTSDの特徴は、長期的なトラウマ体験による引き起こされる心的外傷後ストレス障害(PTSD)といわれています。
急性ストレス障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、瞬間的で強烈な衝撃を受けた場合に発症しますが、複雑性PTSDは、その症状に加え、幼少期又は成人後に深刻なネグレクト(育児放棄)や虐待を受けていたり、両親の不仲を目の前で見ていた、兄弟・姉妹間の扱いの違い、学校でのいじめなど長期的な衝撃が原因と考えられています。
このような状況が続くと、世の中に対する信頼感がなくなり、自己肯定感が失われたり、人と接することに恐怖を抱いたりもします。
複雑性PTSDは、一般的なPTSDに比べると、医師や治療者との信頼関係が重要になりますので、治療に時間を要するといわれています。

ストレス障害の診断基準

ストレス障害は、アメリカ精神医学会の診断ガイドラインである「DSM‐5」、世界保健機構の診断ガイドラインである「ICD-10」を活用して診断されることになります。

「DSM‐5」「ICD-10」において
急性ストレス障害の診断基準

●診断基準:DSM-5

  • A.実際にまたは危うく死ぬ、重傷を負う、性的暴力を受ける出来事への、以下のいずれか1つ(またはそれ以上)の形による曝露:

    • 1.心的外傷的出来事を直接経験する。
    • 2.他人に起こった出来事を直に目撃する。
    • 3.近親者または親しい友人に起こった出来事を耳にする。
      注:家族または友人が実際に死んだ出来事または危うく死にそうになった出来事の場合、それは暴力的なものまたは偶発的なものでなくてはならない。
    • 4.心的外傷的出来事の強い不快感をいだく細部に、繰り返しまたは極端に曝露される体験をする。
      (例:遺体を収集する緊急対応要員、児童虐待の詳細に繰り返し曝露される警官)。
      注:仕事に関連するものでない限り、電子媒体、テレビ、映像、または写真による曝露には適用されない。
  • B.心的外傷的出来事のあとに発現または悪化している。侵入症状、陰性気分、解離症状、回避症状、覚醒症状の5領域のいずれかの、以下の症状のうち9つ(またはそれ以上)の存在。

    -侵入症状-

    • 1.心的外傷的出来事の反復的、不随意的、および侵入的で苦痛な記憶。
      注:子どもの場合、心的外傷的出来事の主題または側面が表現された遊びを繰り返すことがある。
    • 2.夢の内容と情動またはそのいずれかが心的外傷的出来事に関連している、反復的で苦痛な夢。
      注:子どもの場合、内容のはっきりしない恐ろしい夢のことがある。
    • 3.心的外傷的出来事が再び起こっているように感じる。またはそのように行動する解離症状(例:フラッシュバック)(このような反応は1つの連続体として生じ、非常に極端な場合は現実の状況への認識を完全に喪失するという形で現れる)。
      注:子どもの場合、心的外傷に特異的な再演が遊びの中で起こることがある。
    • 4.心的外傷的出来事の側面を象徴するまたはそれに類似する、内的または外的なきっかけに反応して起こる、強烈または遷延する心理的苦痛または顕著な生理的反応。

    -陰性気分-

    • 5.陽性の情動を体験することの持続的な不能(例:幸福、満足、または愛情を感じることができない)。

    -陰性気分-

    • 6.周囲または自分自身の現実が変容した感覚(例:他者の視点から自分を見ている、ぼーっとしている、時間の流れが遅い)。
    • 7.心的外傷的出来事の重要な側面の想起不能(通常は解離性健忘によるものであり、頭部外傷やアルコール、または薬物など他の要因によるものではない)。

    -回避症状-

    • 8.心的外傷的出来事についての、または密接に関連する苦痛な記憶、思考、または感情を回避しようとする努力。
    • 9.心的外傷的出来事についての、または密接に関連する苦痛な記憶、思考、または感情を呼び起こすことに結び付くもの(人、場所、会話、行動、物、状況)を回避しようとする努力。

    -覚醒症状-

    • 10.睡眠障害(例:入眠や睡眠維持の困難、または浅い眠り)
    • 11.人や物に対する言語的または肉体的な攻撃性で通常示される、(ほとんど挑発なしでの)いらだたしさと激しい怒り
    • 12.過度の警戒心
    • 13.集中困難
    • 14.過剰な驚愕反応
  • C.障害(基準Bの症状)の持続は心的外傷への曝露後に3日~1ヵ月。
    注:通常は心的外傷後すぐ症状が出現するが、診断基準を満たすには持続が最短でも3日、および最長でも1ヵ月の必要がある。

  • D.その障害は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

  • E.その障害は、物質(例:医薬品またはアルコール)または他の医学的疾患(例:軽度外傷性脳損傷)の生理学的作用によるものではなく、短期精神病性障害ではうまく説明されない。

●診断基準:ICD-10

例外的に強いストレス因の衝撃と発症との間に、即座で明らかな時間的関連がなければならない。発症は通常、直後ではないにしても、数分以内である。それに加え、症状は、

  • A.混合した、しじゅう変動する病像を呈する。初期「困惑」状態に加えて、抑うつ、不安、激怒、絶望、過活動、および引きこもりのすべてがみられることはあるが、1つのタイプの症状が長い間優勢であることはない。
  • B.ストレスの多い環境からの撤退が可能な場合、急速に(せいぜい数時間以内で)消失する。ストレスが持続するか、その性質上取り消すことができない場合、症状は通常24~48時間後に軽減し始め、通常約3日後に最小限となる。

この診断は、F60.-「特定のパーソナリティ障害」をのぞくほかの精神科的障害の診断基準を満たす症状をすでに示している個人においては、症状の突然の増悪に当てはめるために用いてはならない。しかしながら、精神科的障害の既往があっても、この診断の使用は許される。

※参考文献
『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)
『ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院)
『カプラン 臨床精神医学テキスト』(メディカルサイエンスインターナショナル)

ストレス障害の治療方法

ストレス障害は、特定のストレスが大きく関連して発症し、ストレス反応が持続することによって生活に支障が出てしまいます。そのため原因となるストレスを取り除き、ストレス障害の発症を予防することが必要です。

心理・精神療法

本人に対してどのようにすれば安心感を感じられるか、環境づくりを行っていきます。特定の状況や出来事、フラッシュバックなどによって不安が強くなったり症状が現れてしまいますから、そのようなストレスに対して共感や理解を持ってサポートしていかねばなりません。
そのようなサポートの中から、面接を通して考えや気持ちを肯定して励まし、リラクセーションなど心理療法的なアプローチに取り組んでいきます。
治療期間はストレス障害と診断されてから、約4週間以内の短期的な心理療法が用いられます。
ストレス障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、ある出来事から強烈な衝撃を受け精神面がショックを受けた状態です。
治療の中では、主にその外傷体験を重視します。トラウマや出来事に焦点をあて、その体験した辛い出来事を乗り越えていくことが目的とされています。
患者さんは思い出した出来事に対して恐怖や苦痛を伴いますが、圧倒されずに違う見方を身につけていきます。
徐々に感情のコントロールをしていき、突発的に思い出してしまうことがなくなっていきます。
このように敢えて、辛く苦しい記憶を思い出し、圧倒されないように徐々に他のことに気が向くように面接していきます。長期的な療養期間が必要と考えておきましょう。

薬物療法

また、症状に応じて薬物治療を行うこともあります。
ストレス障害では不安や抑うつ、不眠などの睡眠障害といった症状が現れることがあります。そのため症状にあわせて抗不安薬や睡眠薬、抗うつ薬などが使用されることもあります。
フラッシュバックや抑うつ症状の改善も確認されています。
但し、薬物療法では副作用が生じる場合があります。服用初期には不安感・焦燥感・自殺願望などが服用前より出現することがあったりします。
即効性のある薬もありますが、自己判断で減薬や断薬は危険を伴いますので、必ず医師の指示に従って服用していきましょう。
服用期間は約1週間~2週間から始まり、症状によって薬を減らしたり増やしたりします。個人差はありますが、約半年~1年程続けることが一般的といわれています。
ストレス障害は、早い段階から専門医に相談し、専門的な治療を受けることが重要であるといえるでしょう。また、ストレス障害からうつ病を併発する可能性もあります。うつ病の場合は、うつ病の治療専門クリニックへ相談しましょう。

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ストレス障害とうつ病

ストレス障害は特定にストレスが原因で発症するもので、不安や抑うつ症状が強く現れることからうつ病を併発させることも珍しくありません。
ストレス障害では、病気を引き起こしたストレスがはっきりとしており、その部分がうつ病と違う点であると考えられています。
うつ病においてもストレスが直接的な原因によって発症するものとイメージされていることが多いですが、発症のきっかけは明らかにならないことが多いのです。
近年の研究では、うつ病はストレスが原因による「心の病気」ではなく、脳内の神経伝達物質の働きが乱れることによって引き起こされるものだと考えられています。その発症のきっかけの一つが「ストレス」になることがあるのです。
つまりストレス障害を引き起こしたストレスによって、脳内の神経伝達物質の働きが乱れ、うつ病を発症させてしまうことがあります。
そのためストレス障害とうつ病を併発させてしまったり、うつ病からストレス障害を併発させてしまうので珍しいことではないのです。
特にうつ症状特有の「抑うつ症状」「意欲の減退」「不眠」などが継続している場合には、うつ病の可能性が高いといえます。

ストレス・うつ病の新しい治療法

新宿ストレスクリニックでは、ストレスとうつ病の新しい治療法を提供しています。
ストレスを軽減させたい、ストレスによって引き起こされるうつ病を未然に防ぎたい、うつ病を発症したが治療法がよく分らない、抗うつ薬を飲んでいるが副作用が辛いなどといった患者さんが来院しています。
うつ病は環境的要因・精神的要因・身体的要因がきっかけで発症することもあり、ストレス社会の現代ではうつ病に悩まされる方が少なくはありません。
うつ病はうつ病の専門治療が必要となります。その治療がなるべく患者さんの負担にならないよう、新宿ストレスクリニックでは、磁気によるうつ病治療「磁気刺激治療(TMS)」を専門に行っています。

磁気刺激治療(TMS)とは?

磁気刺激治療(TMS)とは?

磁気刺激治療(TMS)は、磁気を脳にあて、磁気の刺激によって脳の機能を回復させる治療法です。入院や手術の必要はなく、リラックスした状態で治療を受けることができます。

磁気刺激治療(TMS)とは?

治療回数を重ねる毎に、回復の実感があり、何より抗うつ薬のような副作用の心配がいりません。既に抗うつ薬を服用している患者さんも受けることが可能です。患者さんの中には、抗うつ薬の使用をゼロにされた方もいます。
特に、他の精神疾患や身体疾患がある方は心身に負担が少ないうつ病治療として安心して並行した治療ができます。
ストレス過多の状態で、抑うつ状態がある場合も、磁気刺激治療(TMS)を受けることにより、気分がしっかりリフレッシュし、うつ病の重症化を未然に防ぐことも可能です。

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うつ病かどうかが分かる光トポグラフィー検査

うつ病は診断が難しい病気とも言われています。医師の主観のみの問診で、双極性障害(躁うつ病)と診断され、実はうつ病であったという例も少なくはありません。
双極性障害(躁うつ病)とうつ病は治療方法が異なるため、誤診によりなかなか改善しないという事態にもなりかねません。
そこで、新宿ストレスクリニックでは、厚生労働省認可の光トポグラフィー検査を導入し、医師の問診と併せた、より正確な診断を実現させました。
光トポグラフィー検査はうつ病・双極性障害(躁うつ病)・統合失調症・健常と4つのパターンを現在の状態をグラフデータで現します。検査当日に結果をお渡しすることも可能であり、何より現在の状態がしっかりと正確に把握できるところが症状の回復への第一歩となります。
原因が分からないまま治療するよりも、その原因に特化した治療を行うことが重要です。
お困りの症状がある方は、まずは光トポグラフィー検査を受けてみることをおすすめします。

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その他に、ストレス測定といったセンサーを指先にセットして、自律神経バランスを分析することで、ストレス状態が分かる検査もあります。
自律神経バランスが乱れたり、抹消神経の活動が弱くなったりすると、体調不良、基礎代謝の低下などの原因につながります。さらにストレスを溜め込むと、うつ病のリスクも高まります。だからこそ、自身のストレス状態を早めに知り、生活習慣や環境の改善をすることが大切です。

ストレスは人間が生きてく上では、必要不可欠ですが、ストレス過多はさまざまな不調を引き起こします。日常生活に支障をきたしている状態であれば、早めに専門の医療機関へ相談しましょう。精神的不調は身体にも影響します。健やかな人生を送るために、精神面のケアについても考えていきましょう。

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本 将昂

【監修】本 将昂医師

2011年京都大学医学部卒業。現在、新宿ストレスクリニックの名古屋院院長。それぞれの患者さんにとって何か最善であるかを考え、患者さんfirstの精神で治療を行います。
精神保健指定医 日本精神神経学会認定精神科専門医

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