統合失調症

統合失調症
総合失調症は100人に1人弱がかかる頻度の高い病気
総合失調症は100人に1人弱がかかる頻度の高い病気

統合失調症は、100人に1人弱がかかる頻度の高い病気といわれ、何らかのきっかけで誰にでもなり得る病気です。ここでは、統合失調症に関する理解と知っておくべき大切なことをお伝えします。

統合失調症とは

統合失調症は、幻覚や妄想という症状が特徴的な精神疾患です。
本人は何かおかしいと感じながらも、病気とは思っていないので他人にはよく理解できない発言や行動が現れてきます。
また、「感覚・思考・行動が病気のために歪んでいる」ことを自分で振り返って考えることが難しくなりやすい(病識の障害)、日常生活や社会生活で営む機能が障害を受ける(生活の障害)という特徴を併せ持っています。
「普通の会話もできない」、「不治の病」といった誤ったイメージがありますが、こころの働きの多くの部分は保たれ、多くの患者さんが回復していきます。

統合失調症を発症する
原因ときっかけ

統合失調症の原因は、今のところ明らかではありません。
ただし、さまざまなストレスが積み重なり、体質的な脆さがある場合には、心身のバランスを崩して発症するのではないかと考えられています。
積み重なるストレスによって脳内の神経伝達物質であるドーパミンなどが過剰分泌されていることが関係していることが知られています。脳の萎縮などの異常が見られる場合もあります。
では、原因となるきっかけにはどのようなものが考えられているのでしょうか。

ストレスの影響の可能性

転校、転居、親の離婚、親との死別、あるいは病気といったことによるストレスが重なったときに、発症するという考えがあります。
このとき、脳にも機能低下というトラブルが起きています。
脳内で情報のやり取りをしている「神経伝達物質」の1つにドーパミンという物質があります。
ドーパミンは注意・意欲・感情・学習・運動調整といった機能をつかさどる物質です。このドーパミンの過剰な分泌、あるいは機能低下が、統合失調症の症状を引き起こすのではないかと考えられています。
また、直接的な予防法はなく、発症のきっかけとなるのがストレスの場合、ストレス環境を改善することは、間接的な予防法と言えるでしょう。

遺伝子の影響の可能性

統合失調症は遺伝子が原因の一つであると考えられています。
ただしあくまで原因の一つということであって、必ずしも遺伝の影響を受けるものではありません。
遺伝子の影響の可能性を考えてみると、一卵性双生児は同じ素因をもっているはずですが、統合失調症を発症するのは約50%と言われています。一卵性双生児だからといって2人ともが統合失調症を発症するわけではないのです。
統合失調症の母親から生まれた子どものうち、同じ病気を発症するのは約10%にすぎません。兄弟まで含めても20%程度、甥や姪まで含めても40%程度とされています。
こうしてみると、統合失調症の原因には素因と環境の両方が関係しており、素因の影響が約3分の2、環境の影響が約3分の1とされています。
素因の影響が大きいと感じるかもしれませんが、生活習慣病など頻度の多い慢性的な病気にも共通する値となっています。
遺伝の影響はあるものの、遺伝だけで決まるものではありません。

脳への影響の可能性

統合失調症の人の脳を調べてみると、脳の萎縮がみられたり、前頭葉や側頭葉が小さかったり、海馬の左側が小さかったりすることがあります。
ただし、それらが統合失調症の発症にどのような影響を与えるのかまでははっきりとわかっていません。
また妊娠期や周産期に、 胎児の脳に機能的な障害を与えることによって発症するのではないかとも考えられています。
胎児に対して栄養不良であったり、ウイルス感染をさせてしまったり、出産の際に無酸素状態になってしまった際に、神経系の発達や成熟に影響を与えてしまって発症させてしまうのではないかというものです。
ただし、これらの障害がみられたとしても必ずしも発症するものではないことも知られており、あくまで原因のひとつと考えられています。

性格や家庭環境による影響の可能性

統合失調症の人には、一定の性格傾向がありますから、発症に性格因子があるのではないかと考えられています。
性格の傾向としておとなしく内気な人が多く、素直で控えめ、傷つきやすい気質がみられます。人と付き合うのが苦手で、一人でいることが多くみられます。
ただし性格傾向があるとはいえ、親の育て方や家庭環境だけが病気の原因になるものではありません。
家庭環境の悪さは発症の原因と考えられてはいますが、あくまで発症の原因の一つです。ストレスフルな環境は避けるようにしなければなりません。

人生の転機による影響の可能性

人生の転機(進学・就職・独立・結婚など)が発症の契機となることが多いようですが、原因ではないとされています。
というのは、人生の転機は特別な出来事ではなく、同じような経験をする大部分の人が発症に至らないからです。
ただし、もともと発症しやすいといった素因を持っている人は、大きな人生の転機を迎えた場合に、発症のきっかけとなることもあります。

統合失調症の患者数と発症年齢

厚生労働省の調査では、統合失調症あるいはそれに近い診断名で受診中の患者数は、約80万人とされています(2017年患者調査)。

有病率が1%程度と推測されていますので、国内には100万人以上いる計算になりますが、発症しているけれども受診していない人も多くいると考えられています。
統合失調症は治療可能な病気ではありますが、治療に繋がっていないことが今後の課題ではないかと考えられます。
また、世界で見ると2100万人程度の患者がいることが世界保健機構の2016年調査で知られています。同調査によりますと、生涯のうちに統合失調症にかかる割合は人口の0.1~1.8%、成人が年間にかかる割合は人口の0.1~7.5%であるとされています。
発症年齢は、思春期から30歳代までに多く見られ、中学生以下や40歳以降での発症は割合としては少なくなっています。男性よりも女性の方が、発症年齢がやや遅めであるというデータも存在します。
また発症の男女差については、最近の報告では男:女=1.4:1であるとされています。

統合失調症の症状・症状の分類

統合失調症はさまざまな症状が現れるのが特徴的です。
私たちは日常的に喜んだり、悲しんだり、怒ったり、笑ったりしますが、これらの感情や思考がうまくコントロールできなくなるのが特徴的な症状です。
何らかの原因によってこれらの精神機能がうまく働かなくなり、その状態によって症状となり現れるものなのです。
「陽性症状・妄想・幻覚」「陰性症状」「解体症状」「認知障害」の4つに分類し、症状を説明していきたいと思います。

陽性症状・妄想・幻覚

統合失調症の症状のなかで、多くみられるものに「陽性症状・妄想・幻覚」があります。
「陽性症状」とは、本来あるはずのないものは現れるという症状(幻覚)であり、統合失調症の特徴的な症状です。発症直後や再発直後の急性期においてみられます。
あるはずのないものが現れる幻覚というものには、視覚的なものだけではなく、聴覚や嗅覚、触覚などさまざまな感覚となって現れます。
特に人の声が聞こえるという「幻聴」については、症状の中でも最も多く、自分に対する悪口や陰口となって現れます。そのため思い込みが激しくなり、人を疑い深くなってしまいます。
また、幻聴はテレパシーやお告げのような形で感じることもあり、実際に身体に感覚を感じられる体感幻覚、実際にはない臭いを感じる幻臭、実際にはない味を感じる幻味などが引き起こされることもあります。
そのような症状が起こることによって、思考が混乱し、感情が不安定になることで、奇異な行動が出るとこも多くなってしまいます。

陰性症状

「陰性症状」とは、喜怒哀楽といった感情そのものの表現が乏しくなったり、勉強や仕事などの意欲がなくなったり、会話をしなくなり素っ気ない態度になったり、人と関わることがなくなったりする症状のことをいいます。

感情の平板化(感情鈍麻)

喜怒哀楽の表現が乏しくなって、周りからは感情が失ったように見えることもあります。人とコミュニケーションを避けようとして、人の気持ちに寄り添うような姿勢もなくなってしまいます。

意欲の欠如

今まで意欲を持って取り組んでいた学校での勉強や仕事などに対して、意欲や気力がわかないようになってしまいます。周りの状況にも関心を示さないようになってしまい、集中力も低下して、物事に取り組むことができなくなってしまいます。

思考の貧困

人とのコミュニケ―ションを取ろうとしなくなり、会話自体の量が減ってきます。思考力自体が低下してしまいますから、話しかけても素っ気なく返されたり、会話にならないような途切れとぎれになってしまったりします。返事がないことも多くなります。

自閉(社会的ひきこもり)

人との関わりを避けるようにして、過ごすようになってしまいます。部屋に引きこもって出てこなくなり、学校や仕事にも行かないようになってしまいます。特に何をしているわけでもなくぼんやり過ごすようになりますから、社会性がどんどん低下してしまいます。

統合失調症では、陽性症状のあとに遅れて、このような「陰性症状」が出現することが多くみられます。
陽性症状に現れた妄想や幻覚のようなものはなく、統合失調症が発症して一定期間が経過してから目立つようになります。陰性症状には薬の効果が出にくいという傾向もあります。

解体症状

「解体症状」とは、考えや行動にまとまりがなくなってしまう症状のことを指しています。
感情の変化がとても激しくなったり、まったくよそうできない気まぐれな行動をとったり、まとまらない言動がみられることが特徴的です。
その場の状況にそぐわない行動がみられるようになり、何もない場所で満足そうに笑っていたり、話をする内容が支離滅裂であったり、誰もがしないような悪ふざけをしたり、家にゴミをため込むようになったりします。
解体症状は、陽性症状・陰性症状のどちらにも当てはまらない症状で、思考や行動が解体されてしまうものです。
私たちでも、悪ふざけや部屋にゴミをため込むようなことがありますがそのようなものではなく、周りの人にとって理解することができないという状態が解体症状のポイントになります。
「仕方がない」とか「あり得る」として済ますことができないような、まとまりのなさ・異常な行動に気付くことになるのです。

認知機能障害

「認知機能障害」とは、記憶力が低下したり、注意力や集中力がなくなったり、判断力が鈍ったりすることを指しています。
認知機能とは、学習を積み重ねて理解を深めたり、判断力を高めたり、思考のための材料とするなど、知的な能力全般のことです。統合失調症では、これらの能力が低下しますから、日常生活に困難をもたらすものと考えられています。

注意・集中力の低下

私たちの周りにはさまざまな情報があふれています。私たちはその情報のなかから必要なものだけを取り出して、活用することができています。
しかし、統合失調症の認知機能障害の場合においては、情報を選択する判断力が低下し、その情報に集中することが難しくなります。例えば会話中においても、テレビなどの物音が気になって、会話することができなくなるのです。

記憶力の低下

物事を記憶するという能力が低下してきます。
記憶の障害には、作業記憶(ワーキングメモリー)と呼ばれる、作業や施行に必要な記憶ができなくなる「作業記憶の障害」、大事なものを片付けて、どこにしまったのか分からなくなる「空間記憶の障害」、光や音など複数の感覚を整理し、まとめて感じる「感覚の統合障害」がみられます。

判断力の低下

判断しなければならないような場面で、どのように進んでいけばいいのか判断することが難しくなってしまいます。
優先順位や計画などを論理的に考えることが困難となり、社会性を低下させる要因となってしまいます。

統合失調症のサイン

統合失調症のサイン

統合失調症のサイン

統合失調症は先ほどにもお伝えした、「陽性症状・妄想・幻覚」「陰性症状」「解体症状」「認知障害」などの症状が現れることによって気が付くことが多いです。
特に陽性症状と陰性症状については、短期間であっても一定期間継続して現れることが多くあります。そのサインに注目すると、統合失調症のはじまりを理解することができます。
自分自身には確かに見えているものや聞こえているものが、当然ながら周りの人には見えることも聞こえることもありません。
ただ本人にとっては、とても現実味のあるものとして現れますから、気がつきにくいもので、周りから指摘してもなかなか受け入れることもできません。
本人の様子を周りから見て、おかしい様子を感じたのであれば、早めに精神科や心療内科など専門医に相談することがいいでしょう。

「陽性症状・妄想・幻覚」のサイン

  • 実際には聞こえない声が聞こえて、「死ね」などと脅されている
  • 天からの指令を受けて、その指示通りに行動しないといけないと感じている
  • 盗聴されていると思い、自宅内に不審な物がないか探している
  • 悲しい話を笑いながら言うなど、全くつじつまが合わない
  • 自分が一人の人間としての感覚がなくなり、とても混乱している

「陰性症状」のサイン

  • 生活意欲がなくなって、自分自身の身の回りのことまでできなくなってしまう
  • 感情の起伏が乏しくなり、喜怒哀楽のない感情を失った人のように見える
  • 人との接触を極端に嫌がって、自室に引きこもるようになってしまう
  • 無気力となり、長時間じっとしたまま動かない
  • 話しかけても素っ気ない返事をしたり、全く返事をしないことが多くなる

「解体症状」のサイン

  • 些細なことでパニックを起こしてしまう
  • 周りからみると幼稚で馬鹿げた行動をしているように見える
  • 生ごみを部屋に散らかすなど、限度を超す不潔な状態で過ごしている
  • 話の内容が全くつじつまの合わない、支離滅裂なものである
  • 以前と比べて人柄が変わってしまったようだ

「認知障害」のサイン

  • それほど大きくない周囲の物音が気になり、落ち着きがなくなってしまう
  • 几帳面だったのに無頓着になり、片付けができなくなってしまった
  • 料理が得意だったのに、手順が分からなくなりできなくなった
  • 先にしなければならない優先順位が分からなくなった
  • 別々の出来事が一緒のように感じて区別できなくなってしまう

統合失調症の経過

統合失調症の特徴的な症状は、個人によってさまざまな現れ方がみられますが、積極的に治療を行うことにより「前兆期」「急性期」「回復期」を経て、「安定期」「予後」へと経過をたどっていくことになります。
ただし、すべての人が前兆期から予後まで一方向に進んでいくものではありません。
治療の途中で症状を悪化させてしまうようなストレスがかかってしまった場合、また急性期へと戻ってしまうことも珍しくありません。
何度も再発を繰り返してしまうことで、症状を悪化させてしまって、回復までの期間が長くなってしまうこともあるのです。
しかし以前と比べると、早期発見・早期治療により症状を抑えることができ、再発を防止することもできるようになりました。
さまざまな薬剤も開発されており、早期に適切な治療を行うことによって、健康な人と同じように社会生活を営んでいる人も少なくありません。
症状が悪化したとしても焦らずにじっくりと治療に取り組んでいく姿勢が大事です。
また、周囲で関わる家族や友人においても、本人のペースで治療に取り組んで過ごせるように、配慮するようにしましょう。

前兆期

発症する前の脳に疲れが溜まっている時期のことを「前兆期」と呼びます。
この時期には、病気の発症を感じさせるような症状がいくつか現れます。不安が強くなり眠れなくなったり、焦ってしまう気持ちがとても強くなってしまいます。
周りの物音にとても敏感になったり、光が眩しく感じられるようなこともあります。
しかしこのような症状が起きたとしても、「ただの疲れだろう」「ゆっくりしたら治るだろう」と気づかずに過ごしてしまうことが少なくありません。
周りで関わる家族や知人においても、それが統合失調症の前兆となるものだとはなかなか気づくことはありません。
しかし症状が進んでいくにつれて、学校や仕事に行けない日が増えてしまうなど、行動の変化に現れるようになります。
そのような社会適応の悪化が、精神科や心療内科など専門医への相談のサインと考えておかねばなりません。

急性期

前兆期を経て急性期に入ると、統合失調症の特徴的な症状がはっきりと表れてくるようになります。
特に不安や緊張感が極度に強まったり、幻覚や妄想などの陽性症状が目立ってきます。
本人にとって幻覚や妄想は、現実の世界として捉えています。幻覚によって現れる姿や声などによって指示されてしまい、頭の中が混乱して興奮してしまうのです。
そのため家族など周囲の人とのコミュニケーションもうまく取れないようになるのがこの時期です。
本人には全く病気に対する意識がないのが特徴です。自分自身からなかなか病院に受診することは難しいので、家族など周囲の人の勧めで精神科や心療内科を受診することが多いです。
症状の度合いによっては、入院が必要となる場合もあります。

回復期

急性期を過ぎると、陽性症状が見られないようになり、喜怒哀楽がなくなり無気力となってしまう陰性症状が強くなります。
眠気がとても強くなったり、体がだるくなって動かせなかったり、全くやる気が出なかったり、自分に自信が持てなくなります。
そのような症状によって、引きこもることが多くなる時期だといえます。
この時期を休息期と呼ばれることもありますが、この時期にストレスになるようなことがあると、再度急性期へと悪化してしまうこともありますから注意が必要です。
数ヶ月単位の休職期間を経て、少しずつ回復が見られるようになります。周囲に対しても少しずつ関心を持つようになり、心のゆとりが感じられるようになります。
焦らないようにすることが肝心で、規則正しい生活を心がけねばなりません。

安定期

少しずつ回復が見られるようになると、症状がある程度固定化するようになります。
その症状に対する生活技能訓練などを行って、社会生活へ適用できるようにリハビリを進めていくことができます。
この時期にはしばしば注意力や集中力がなくなったり、判断力が鈍ったりする「認知機能障害」がみられることがあります。
周りの物音が気になって、会話や行動が出来なくなってしまったり、記憶力が低下してどこに片付けてしまったのか、どのように行動したら良いのか分からなくなってしまったりすることがあります。
物事の優先順位を判断する能力も低下してしまうことがありますので、社会性を低下させる要因となることもあります。
それらの要因によって社会生活が不安となったり、孤立してしまうことで焦ってしまったりする人が多いです。
それらがストレスとなって、症状を悪化させることや再発に繋がってしまうこともありますから注意が必要です。

予後

統合失調症の発症によって初めて入院治療した人の5年後を調べてみると、約70%の人には回復が見られており、軽度の症状が残っているとしても日常会話や作業において問題なく生活できていることが分かっています。
20年前のこのデータを調べてみると、回復している人の割合は約50%でした。
つまり近年、開発された薬物による治療やリハビリテーションなどによって、回復することができる病気であることが知られるようになりました。
ただし統合失調症の治療の課題として、回復までの間に何度か再発することがあるということが挙げられます。
再発を繰り返してしまうと、どうしても回復が遅くなってしまい、治療が長引いてしまいます。
治療が長引いてしまうことによって、うまく通院することや服薬することができなくなってしまうことがあります。生活リズムも乱れるようになることから、悪化への引き金となってしまうのです。
そのため近年では再発を防止する取り組みや生活意欲の低下を予防するリハビリテーションに積極的に取り組まれるようになりました。

統合失調症の診断基準

統合失調症の診断基準

統合失調症の診断基準

統合失調症の症状は、個人によってさまざまな現れ方がみられるため、発症初期である「前兆期」の場合には、気付かないことも多く、また気付いていたとしても病気であるという意識を持っていないことが多いです。
しかし統合失調症は、早期発見・早期治療によってしっかりと治療に取り組めば症状を回復させることも期待できる病気です。
早期に治療を開始するために、気になる症状があらわれた場合には精神科や心療内科など専門医に相談することが大切です。
ただし統合失調症の特徴的な症状が強く現れている急性期の状態であっても、本人には全く病気の意識がないということが珍しくありません。そのため周りが気づいて受診を勧めても、全てが受診に結びつかないということも少なくありません。

本人や家族からの問診

統合失調症の診断は、本人や家族から症状を聞き取りながら進められていきます。

  • 本人や家族が気になっている症状はどのようなものか
  • その症状がいつから始まっているのか
  • どのような経過をたどっているのか
  • 現在の生活にどの程度影響しているものなのか
  • 本人は現在までにどのように育ってきたのか
  • 今までにどのような病気になったことがあるのか
  • 家族の中に統合失調症の既往を持ってる人がいるのか

などを聞き取って診断を行っていきます。
本人に全く病気に対する意識がない場合には聞き取りできないことも多いので、その際には家族に対しての問診が中心となります。

「ICD-10」「DSM-5」を用いた診断

統合失調症の診断は問診を中心に行われ、世界保健機構(WHO)の国際疾病分類である「ICD-10」と、米国精神医学会の疾病分類である「DSM-5」を活用して診断されることになります。

1、「ICD-10」の診断基準

「ICD-10」の診断基準としては、妄想、幻覚、まとまりのない発語、興奮や拒絶などの緊張病性行動、無気力や会話の貧困、目的の欠如や社会的引きこもり、などの症状のうち、明らかな症状はあるか、どの程度の期間に症状が現れているかなどによって診断されます。

  • A.考想化声、考想吹入あるいは考想奪取、考想伝播。
  • B.支配される、影響される、あるいは抵抗できないという妄想で、身体や四肢の運動や特定の思考、行動あるいは感覚に関するものである。それに加えて妄想知覚。
  • C.患者の行動を実況解説する幻声、患者のことを話し合う幻声。あるいは身体のある部分から聞こえる他のタイプの幻声。
  • D.宗教的あるいは政治的身分、超人的力や能力などの文化的にそぐわないまったくありえない他のタイプの持続的妄想(たとえば、天候をコントロールできるとか宇宙人と交信しているなど)。
  • E.どのような種類であれ、持続的な幻覚が、感情症状ではない浮動性や部分的妄想あるいは持続的な支配観念を伴って生じる、あるいは数週間か数カ月間毎日継続的に生じる。
  • F.思考の流れに途絶や挿入があるために、まとまりのない、あるいは関連性を欠いた話し方になり、言語新作がみられたりする。
  • G.興奮、常同姿勢あるいはろう屈症、拒絶症、緘黙、および昏迷などの緊張病性行動。
  • H.著しい無気力、会話の貧困、および情動的反応の鈍麻あるいは状況へのそぐわなさなど、通常社会的引きこもりや社会的能力低下をもたらす「陰性症状」。それは抑うつや向精神薬によるものでないこと。
  • I.関心喪失、目的欠如、無為、自己没頭、および社会的引きこもりとしてあらわれる、個人的行動のいくつかの側面の質が全般的なに、著明で一貫して変化する。

統合失調症の診断のために通常必要とされるのは、上記のAからDのいずれか1つに属する症状のうち少なくとも1つの明らかな症状(十分に明らかでなければ、ふつう2つ以上)。あるいはEからHの少なくとも2つの症状が、1カ月以上、ほとんどいつも明らかに存在していなければならない。

2、「DSM-5」の診断基準

「DSM-5」の診断基準においては、妄想、幻覚、まとまりのない発語、興奮や拒絶などの緊張病性行動、無気力や会話の貧困、目的の欠如や社会的引きこもり、などの症状と共に、一定期間にその兆候が存在するか、抑うつ症状や躁病症状が発症していないかなども加味されて診断されることになります。

  • A.以下の基準のうち2つ(またはそれ以上)、おのおのが1カ月間(または治療が成功した際はより短い期間)ほとんどいつも存在する。これらのうち少なくとも1つは(1)か(2)か(3)である。
    (1)妄想
    (2)幻覚
    (3)まとまりのない発語(例:頻繁な脱線または滅裂)
    (4)ひどくまとまりのない、または緊張病性の行動
    (5)陰性症状(すなわち感情の平板化、意欲欠如)
  • B.障害の始まり以降の期間の大部分で、仕事、対人関係、自己管理などの面で1つ以上の機能のレベルが病前に獲得していた水準より著しく低下している(または、小児期や青年期の発症の場合、期待される対人的、学業的、職業的水準にまで達しない)。
  • C.障害の持続的な徴候が少なくとも6カ月間存在する。この6カ月の期間には、基準Aを満たす各症状(すなわち、活動期の症状)は少なくとも1カ月(または、治療が成功した場合はより短い期間)存在しなければならないが、前駆期または残遺期の症状の存在する期間を含んでもよい。これらの前駆期または残遺期の期間では、障害の徴候は陰性症状のみか、もしくは基準Aにあげられた症状の2つまたはそれ以上が弱められた形(例i奇妙な信念、異常な知覚体験)で表されることがある。
  • D.統合失調感情障害と「抑うつ障害または双極性障害、精神病性の特徴を伴う」が以下のいずれかの理由で除外されていること。
    (1)活動期の症状と同時に、抑うつエピソード、躁病エピソードが発症していない。
    (2)活動期の症状中に気分エピソードが発症していた場合、その持続期間の合計は、疾病の活動期および残遺期の持続期間の合計の半分に満たない。
  • E.その障害は、物質(例:乱用薬物、医薬品)または他の医学的疾患の生理学的作用によるものではない。
  • F.自閉スペクトラム症や小児期発症のコミュニケーシ∃ン症の病歴があれば、統合失調症の追加診断は、顕著な幻覚や妄想が、その他の統合失調症の診断の必須症状に加え、少なくとも1カ月(または、治療が成功した場合はより短い)存在する場合にのみ与えられる。

統合失調症の診断のために通常必要とされるのは、基準に挙げられた症状が1ヶ月以上、全体の経過が6ヶ月以上の場合である。

参考:
『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)
『ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院)

光トポグラフィー検査を用いた診断

光トポグラフィー検査を用いた診断
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現在の医師の診断への疑問や周りの方で思い当たる方がいらっしゃった場合、新宿ストレスクリニックでは、厚生労働省認可の光トポグラフィー検査を導入しています。光トポグラフィー検査は、安全な近赤外光で頭部の血流量を測定して、健常、統合失調症、うつ病、双極性障害(躁うつ病)、のパターンをそれぞれ判別する検査です。グラフパターンで統合失調症が分かりますので、現在の状態を客観的に正確に知ることができます。

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統合失調症の治療方法

統合失調症の治療は、一般的には薬物療法が中心となっています。特徴的な症状が現れる原因は、脳の神経伝達物質の異常によるものだと考えられており、その異常を薬物によってスムーズにさせることができます。
また薬物治療と同時に、精神科リハビリテーションや精神療法によって、再発を防止し社会生活に適応できるようにすることも大事だと考えられています。

抗精神病薬

統合失調症の治療には、「従来型抗精神病薬」と「新規抗精神病薬」と呼ばれる薬剤を用いられています。「従来型抗精神病薬」とは、古くから活用されてきた抗精神病薬になります。陽性反応にはとても良い効果があると考えられていますが、陰性症状や認知機能障害に対しては効果が望めないものです。
「新規抗精神病薬」とは新しい作用を持った薬剤で、良性症状だけではなく陰性症状や認知機能障害に対しても回復させる効果を持っています。副作用が少ないことも知られています。
とはいえ複数の種類の抗精神病薬を治療として活用することが多く、副作用が強く出てしまうことが懸念されています。

精神科リハビリテーション

統合失調症の治療は薬物治療とともに、精神科リハビリテーションを組み合わせて行うことが効果的だと考えられています。
精神科リハビリテーションとは、社会に適応できなかったり生活しづらかったりと考える症状を改善させるために、デイケアや作業療法、生活技能訓練(SST)、心理教育などのプログラムを用いて実施されています。
医師や看護師だけではなく、精神保健福祉士や作業療法士、臨床心理士などが連携し、医療機関や精神保健福祉センター、自立訓練事業所などで行われています。

精神療法

統合失調症の精神療法には「支持的精神療法」「認知行動療法」「集団精神療法」が用意されており、 本人の症状に合わせた心理的なサポートを行っていきます。
医師との面接において信頼関係を構築し、自分自身の病気や症状への理解を深めていきます。
「支持的精神療法」とは、本人が抱える辛さや苦しみを共感し、症状を和らげるために薬物療法が必要だということを理解してもらうためのものです。治療に対する不安感を和らげる効果があります。
「認知行動療法」とは、陽性症状である妄想や幻覚に対して肯定しつつ、さまざまな角度から非合理的なものだと理解できるようにするものです。そのために誤った考えや信念を修正していくこともあります。
「集団精神療法」とは、同じ病気を抱えた人が集まって、悩みを話し合うことによって自分自身を客観的に捉えるようにしていこうというものです。自分は一人ではないと、孤独感を緩和させることができます。

統合失調症患者さんと
ご家族へのアドバイス

統合失調症患者さんとご家族へのアドバイス
統合失調症患者さんとご家族へのアドバイス

統合失調症の治療に取り組んでいるにも関わらず、なかなか良くならないということが珍しくありません。
そのため「このままでいいのだろうか」と気持ちが焦ってしまうこともありますし、「もう治らないのだろうか」と絶望的な気持ちになってしまうこともあります。
しかし、病気になってしまったのは誰のせいでもありません。わが国での統合失調症の患者数を見てみると70万人を超えており、割合でいうと100人に1人程度は存在すると考えられています。
つまり誰もが統合失調症になる可能性があるということです。

また統合失調症は、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることによって引き起こされる病気です。
心の病気ではなくて、脳の病気であるということを理解しておきましょう。自分の心が弱いから病気になってしまったというわけではないのです。
身近にいる家族においてもどのように関わっていけばいいのか混乱していると思います。
しかし家族以上に本人は不安になっています。統合失調症の陽性症状である幻覚や妄想に日々苦しめられているからです。
本人の言葉や行動は、統合失調症の特徴的な症状によるものだと理解して、本人の心に寄り添うことが大事です。
特に病気の本人からすると、家族が一番信頼できますから、どんなことであっても味方であるという気持ちを伝えるようにすれば安心することができるのです。

なかなか急性期の時期には、回復するというイメージがわきにくいかもしれませんが、病気の治療は回復のイメージを持って一歩一歩進んでいくことが大切です。
そのために病気に対する理解を深め、どのような治療方法があるのか、どのように回復していくのか知っておくようにしましょう。

統合失調症は
うつ病を
併発していることが多い?
~新宿ストレスクリニックに
ご相談を!~

統合失調症は鬱病の症状が顕著に現れることが珍しくありません。幻覚や妄想によって誰かに支配されている感覚になってしまいますので、不安が続いてしまいストレスが蓄積してしまうのです。
そのストレスが原因となってしまい、抑うつ状態になってしまったり不眠になってしまったりし、うつ病を発症させてしまうのです。症状によっては自殺関連思ってしまう人も珍しくありません。
適切に治療を行わなければ良くなることはありません。

うつ病も併発している可能性がある

統合失調症とうつ病が顕著に現れる障害のことを「統合失調感情障害うつ病型」と呼ばれています。
幻覚や妄想といった、統合失調症の主な特徴に加え、活力の低下や気分の抑うつ、不眠などうつ病で現れる症状が見られることが特徴です。
うつ病も統合失調症と同様に「こころの病」ではなく「脳の病」といわれています。脳の神経伝達物質のバランスを崩すことによって引き起こされるものです。
特に統合失調症の場合であれば、脳の機能低下から普段興味・関心がなくなり、気分が沈みがちになり、うつ病を併発してしまうのです。
統合失調症は回復している時期においてもストレスをうまくコントロールしなければ、再発させるきっかけとなってしまうことがあります。
またそれだけではなくうつ病を併発させてしまうリスクも高まりますから、ストレスとどのように付き合っていくのか考え、うまく発散できるように心がけていくことが大事です。
抑うつ症状が現れても「それぐらいは仕方がない」と思わないようにして、適切な治療に取り組むことが大事です。

「光トポグラフィー検査」とは
~グラフデータで統合失調症がわかる~

ご自身や周りの方で思い当たる方がいらっしゃった場合、新宿ストレスクリニックでは医師の問診のみならず、グラフデータでどのような状態かが目で分かる「光トポグラフィー検査」を行っております。
医師の問診だけでは判断しにくかった疾患も「光トポグラフィー検査」によって、より的確に病状を把握しやすくしております。
安全な近赤外光で頭部の血流量を測定して、健常、統合失調症、うつ病、双極性障害(躁うつ病)のパターンをそれぞれ判別する検査です。検査前の問診と検査結果から総合的に診断します。
簡単な質問に答えていくだけなので、痛みなどはございません。

統合失調症かどうかを
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「磁気刺激治療(TMS)」とは
~短期間で効果が期待できる新しい治療法~

新宿ストレスクリニックでは新しいうつ病治療である「磁気刺激治療(TMS)」を専門クリニックです。
薬物治療が中心で副作用に苦しんでいるという患者さんも少なくありません。
磁気刺激治療(TMS)は、副作用もほとんどなく、心身に影響が少ない治療です。
治療期間も短く、抗うつ薬での治療と比べ比較的短期間で効果を実感できます。また、薬との治療の併用が可能なので、抗うつ薬治療でなかなか改善が見られなかった人には有効な治療法です。
治療は12歳以上(中学生)から受けることが可能となっている安全なものなのです。

短期間の治療が可能です!
薬に頼らない新たなうつ病治療があります!

本 将昂

【監修】本 将昂医師

2011年京都大学医学部卒業。現在、新宿ストレスクリニックの名古屋院院長。それぞれの患者さんにとって何か最善であるかを考え、患者さんfirstの精神で治療を行います。
精神保健指定医 日本精神神経学会認定精神科専門医

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新宿ストレスクリニックは、磁気刺激治療(TMS)という、薬に頼らない新しいストレス・うつ病治療法を取り入れた専門クリニックです。磁気刺激治療(TMS)とは、機能が低下した脳に磁気による刺激を与え、脳の働きを回復させることでうつ病を改善する、新しい治療法です。副作用の心配もほぼありません。
患者さんのなかにはセカンドオピニオンとして、現在の薬による治療と併用して通院している方もいらっしゃいます。
リラックスした状態でできる治療ですので、心身に無理のない治療法です。早期発見・早期治療がより早い回復を導きます。何か変だな?と感じたら、お気軽にご相談ください。

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