パニック障害

パニック障害
パニック障害とは

パニック障害とは

パニック障害とは、「急に死んでしまうのではないか」というくらいの苦しさが起こる症状で、中には救急車で運ばれてしまうほどのパニック症状が現れることも珍しくありません。
しかし病院で検査をしてみると、内科的な異常が見つからないこともしばしばです。

「薬物療法」のメリット・デメリット

パニック障害の症状は、なんの前触れもなく現れます。急な動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震え、冷や汗、ふらつきといった症状がかなり強く現れ、不安に襲われることから日常生活においても支障が出てしまいます。
自分ではコントロールできないと感じるほどの症状が突然出現し、その症状は10分以内にピークに達します。
そのため、電車やエレベータなど閉じられた空間において、症状が出現した場合は、身動きが取れなくなってしまい、「逃げられない」と感じてしまいます。
その経験によって「また起こるのではないか」と恐怖になってしまい、外出が困難になることもあります。

パニック発作を繰り返すことで新たな不安が

パニック発作は、繰り返し起こすことが少なくありません。
かなり強い症状が現れることから、

「外出時に起こしたら、周りに迷惑をかけてしまう」
「助けてもらえなかったらどうしよう」
「人前で倒れてしまったら恥ずかしい」

などと、死への恐怖だけではなく、さまざまな感情が入り混じってしまうことがあります。
この症状が強くなってくると、以前パニック発作を起こした場所や、すぐに外に出れない電車やバス、人ごみの中などに行くことが怖くなってしまいます。
パニック発作を繰り返すことで、このように重症化していくのが、一般的な傾向であるといえます。

パニック状態は誰にでも起こりうる反応です

「パニック」という言葉は日常的なものですから、私たちも経験があるものです。
特に火事や地震など、突発的な災害などで生命の危機を感じたときには、多くの人がパニックに陥ります。
胸がドキドキして、鼓動が早くなり、冷静に物事が考えられなくなり、大声で叫びたいような気分に襲われます。
こうした反応は、体に備わった
『生き延びるためのプログラム』
です。
ところがパニック障害においては、なんでもないときにパニック状態のような反応が起こり、命の危機ではないのに、命が脅かされているような不安や恐怖を感じます。
「パニック発作」と呼ばれる、パニック状態でみられるような症状が現れます。
これらの症状は遺伝や環境が要因であると考えられていますので、誰にでも起こりうる反応だといえます。
心の病気ではなく、何らか脳の機能的な異常も考えられますから、適切な治療に取り組まねばなりません。

パニック障害のサイン・症状

パニック障害のサイン・症状には、「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」と呼ばれる特徴的な症状があります。
パニック発作を繰り返すことで、予期不安→広場恐怖へと重症化していく傾向にあります。

パニック発作

パニック障害の特徴的な症状に「パニック発作」があります。
突然襲ってくる症状で、あまりに強く現れるために恐怖や不安感が抑えられなくなります。その症状は「死んでしまう」と考えてしまうほどのもので、その恐怖は言葉では表しきれません。
なかには過呼吸を起こして倒れてしまうことも少なくありません。
パニック発作は「認知的症状」に「身体症状」を伴って、強い不安や恐怖を引き起こします。
「死んでしまう」「狂ってしまう」「自分でなくなってしまう」といった認知的症状に、「めまい」「胸部不快感」「悪寒」「動悸」「息切れ」「発汗」などの身体症状が現れるのです。

予期不安

「予期不安」とは、一度パニック発作を起こしてしまったことによって、次の発作を過剰に心配して恐怖感を持つものです。
パニック発作は死への恐怖と同時に身体症状が現れるために、他の病気も引き起こすのではないか、倒れても助けてもらえないのではないかといった、別の感情も沸き起こってきます。
さらに「倒れたら恥ずかしい」とか「他人に迷惑をかけてしまう」といったことまで考えてしまうようになります。
これらはパニック発作の経験による恐怖感で「予期不安」の特徴です。発作の予兆を感じてしまうとたちまち不安に陥ってしまいます。
そのため外出することが怖くなってしまい、治療の為に通院が必要であるメンタルクリニックなどの受診にも行けない人もいます。パニック発作が改善したとしても予期不安が残ってしまうこともあります。

広場恐怖

パニック発作を繰り返し、予期不安が強くなってしまうと、以前に自分が発作を起こした場所に強い恐怖を感じてしまうことがあります。
この症状を「広場恐怖」と呼ばれています。広場とは広い場所のことを指しているのではなく、人が大勢いる場所のことを指しています。そのため広場恐怖は、人によって感じる場所が違います。
以前、発作を起こした場所が電車やバスであれば、公共交通機関を利用することができなくなりますし、買い物途中に発作を起こしたのであれば、スーパーやコンビニに行けなくなることもあります。
予期不安によって、さまざまな感情が沸き起こっていますから、外出自体ができなくなってしまい引きこもってしまうことも少なくありません。
パニック障害は、うつ病を併発している可能性が高いので、パニック障害を重症化させないためにも、精神科や心療内科できちんと診療してもらう必要があります。

ストレスやうつ症状について
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パニック障害の原因

パニック障害は突然苦しくなり、「死んでしまうかも」といった恐怖に襲われます。しかしどれだけ検査しても内科的な異常は見つかりません。
パニック障害が起きる原因については、明確に解明されていません。現時点でどのように考えられているのかお伝えします。

遺伝的要因

多くの研究において、パニック障害を引き起こした兄弟や子供においては、一般の人よりも発症率が高くなっていることが分かっています。
パニック障害ではない人の家族では、発症率は最高3.5%、平均1.9%となっているのに対して、パニック障害の家族では発症率が最高17.3%、平均10.8%となっています(Arch Gen Psychiatry40:1065-1069,1983)。パニック障害家族のリスクは、そうでない人と比べて約5倍~8倍高くなっていることが分かります。
ただし遺伝的要因だと断定できるものは発見されておらず、さまざまな遺伝的な要素が重なり合っていると推測されています。

家庭環境

家庭環境が精神障害の原因になるといわれますが、パニック障害においても幼少期の家庭環境が影響されるといわれます。
幼少期での親の離婚や死別・虐待などの経験や、親からの拒絶または過保護といった両極端の対応がパニック障害の要因であると考えられています。
ただしこれらの研究結果については、必ずしも一致する結果ではなく、パニック障害の要因と断定することはできません。

性格

パニック障害は特定の性格による障害であると断定することはできません。ただしパニック障害に悩む人の中には、人見知りや内省的、悲観的といった性格傾向があるという研究結果もあります。
ただしパニック発作を繰り返す中で自信を喪失して生じたものなのか、もともとの性格なのかまでは検証されていません。

ストレス

ストレスと感じる出来事によってパニック障害を引き起こしているという研究結果も存在します。 アルコールやタバコの量が多い人ほどなりやすいと言われることもあります。
ただし、明確なストレスを認めない症例も数多く存在することから、発症直前のストレスはそのままパニック障害の要因であるとも言い切れません。

物質要因

二酸化炭素やカフェインによってパニック発作を誘発するという研究報告もあります。
パニック障害の患者に対して二酸化炭素を投与すると、高い確率でパニック発作を引き起こすことがわかっています。パニック障害ではない人に二酸化炭素を投与しても何の症状も示すことはありません。
またカフェインにおいても同様に、一定量以上の投与によって、高い確率でパニック発作を引き起こすというデータもあります。

パニック障害の治療法について

  • 薬物療法
  • 認知療法(精神療法)
  • 行動療法(運動療法)

パニック障害の一般的な治療法として、これらの方法があります。パニック障害の特徴を正しく掴むことによって、これらの治療法に効果がみられます。

薬物療法

薬物療法においては一般的にベンゾジアゼピン系の「抗不安薬」とSSRI系の「抗うつ薬」が用いられます。
パニック発作では、危険な状態でないにもかかわらず、胸が苦しくなったり、めまいが酷くなったり、動悸が強くなったりします。
脳が間違った動きをしてしまいますから、抗不安薬によって発作を抑えることができると考えられています。
またパニック発作が起こらなくなったとしても、予期不安や広場恐怖によって外出ができないということがあります。パニック発作による不安が残っていることが原因ですから、抗うつ薬によって不安や焦りを調整することができます。
SSRI系の抗うつ薬は、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの作用を高める働きがありますから、服用し続けることでパニック発作の不安や焦りを抑えることが可能です。

認知療法(精神療法)

認知療法(精神療法)とは、カウンセリング(心理学的治療法)によって薬物療法のような効果を期待する治療法です。
パニック発作には「認知モデル」という仮説があります。
発作の引き金となってしまったストレスに対して、不安が高まり動悸や呼吸困難などの体の変化が現れます。その症状によって「死んでしまうかもしれない」といった思考が現れてしまい、 不安がさらに高まってしまうことになります。これらの流れが悪循環となってしまい、パニック障害をどんどん悪化させてしまうのです。
この治療法では、記録用紙を用いて、現実的な考え方を引き出していきます。悪循環をなくすことができ、パニック発作の進行を予防できると考えられています。

行動療法(運動療法)

認知療法と共に取り入れられている治療法として行動療法(運動療法)があります。
パニック発作を繰り返している人の中には、特定の場所に行くことがとても不安に感じている人が多くいます。少しずつ行動していくことで、最終的にはその場所に出向くことができるようにするのです。
行動療法にはさまざまな方法がありますが、「弛緩訓練法(リラクゼーショントレーニング)」や「呼吸訓練法」などの補助的な治療法もあります。
弛緩訓練法とは、体をリラックスさせることでパニック発作の軽減を図る方法です。
また不安や緊張感が高まると、呼吸が浅くなり不規則になりますので、調節呼吸によって意識的に体内の酸素と二酸化酸化炭素量のバランスを調整できるようにします。
また日常的においても、散歩や自転車に乗るなど、適度な運動も効果的です。

周囲・家族の対応・
サポートについて

パニック障害は、本人以外がその症状を理解するのは難しいために、辛さや不安を自分一人で抱えていることがあります。
まずパニック障害はどのようなものか理解することが大事で、その辛さや不安を共感することがさらに大事になります。
外出時においてパニック発作が起こった場合であれば、優しく寄り添って「大丈夫」と声をかけ、不安を和らげるようにすると良いでしょう。
発作を起こした際には「死んでしまうのではないか」という強い不安を感じてしまいます。パニック発作で死ぬことはありませんが、その強い不安を理解することがとても大切になってきます。
繰り返しパニック発作を起こしてしまうと、予期不安や広場恐怖によって悪循環になり、外出できずに引きこもってしまうことがあります。
家族だけで対応してしまうと、家族自身も疲弊してしまうことがあります。仲の良い友人に相談したり、カウンセラーなど社会的な相談機関をうまく活用することも大事です。
特にパニック障害は、改善までに時間を要することがありますので、周りのサポートにおいてもストレスをためないようにすることが必要です。

日常生活での注意点

パニック障害は決して治らない病気ではありませんが、パニック発作を繰り返すことによって、治るまでに時間がかかることも珍しくありません。
繰り返してしまう発作をうまくコントロールできるように、日常生活において工夫することが大切です。

1、医師とよく相談するようにする

パニック障害は適切な治療が必要です。精神科や心療内科のメンタルクリニックに受診し、主治医の治療方針のもと治療に取り組むことが大事です。
服薬の指示が出た場合であれば、自分の判断で勝手に薬をやめてしまってはいけません。症状を悪化させる可能性もありますから、不安なことがあれば、必ず主治医に相談しましょう。

2、生活リズムを大事にする

日常生活において、規則正しい生活を心がけ、ストレスをためないように工夫することが大切です。
ストレスはパニック障害の直接的な原因ではないと考えられていますが、パニック発作を誘発してしまうこともあります。
また、疲れや睡眠不足などによって、発作が現れやすくなります。睡眠をしっかりと取って体の疲れを取り、気分転換などによって過ごしやすいようにしましょう。

3、カフェインの摂りすぎに注意する

コーヒーや紅茶に含まれているカフェインによって、パニック発作を誘発させてしまうことがあります。飲み過ぎには十分注意するようにしましょう。

パニック障害はうつ病を
併発する!?

パニック障害はうつ病を併発する!?

パニック障害は激しい気分の落ち込みを伴う、うつ病を併発するケースが多く、日常生活に支障がでる可能性があります。
ちょっとしたことで落ち込み、自分を責めたり、うつ状態が出始めたときに最も深刻な状態になります。
さらに、うつ病を併発すると、自殺を考える割合が急に高くなるといわれます。
パニック障害だけであれば、心理療法等でうまくコントロールが可能になることもあるようですが、うつ病を併発するとうつ病に特化した治療も必要になります。

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抗うつ薬と抗不安剤を服薬しても
よくならない場合

薬による効果がみられない場合、新たな治療法を選択するのも早期回復への手段かもしれません。うつ病は薬を服用して治療に取り組むことが一般的ですが、さまざまな新しい治療方法も登場しています。
新宿ストレスクリニックでは、パニック障害の治療を行いながら、並行してうつ病の新しい治療に取り組むことも可能です。

パニック障害とうつ病を併発させてしまう理由

うつ病の原因は解明されていませんが、発症のきっかけの一つとして他の精神疾患と合併することも少なくありません。「こころの病」とされてきたうつ病は近年「脳の病」であると理解されています。
パニック障害など他の精神疾患を患っていて、うつ病を併発させる原因の一つとしては、脳の機能低下によるものだといわれています。
気分の落ち込みや、自分を責めること、度重なるストレスによって脳の機能低下を引き起こし、発症することもあります。

磁気刺激治療(TMS)とは

新宿ストレスクリニックは、磁気刺激治療(TMS)を専門に取り組んでいるクリニックです。患者さんのなかには、薬の服用を続けながら治療する方や、薬の服用がゼロになった患者さんもいます。
磁気刺激治療(TMS)はそんな患者さんから注目されている新しいうつ病の治療方法です。薬による副作用が心配な方にもお勧めです。
治療期間も短く、抗うつ薬での治療と比べ比較的短期間で効果を実感できます。そのため今まで抗うつ薬治療でなかなか改善が見られなかった人には有効な治療法です。
治療は12歳以上(中学生)から受けることが可能となっている安全なものなのです。

本 将昂

【監修】本 将昂医師

2011年京都大学医学部卒業。現在、新宿ストレスクリニックの名古屋院院長。それぞれの患者さんにとって何か最善であるかを考え、患者さんfirstの精神で治療を行います。
精神保健指定医 日本精神神経学会認定精神科専門医

新宿ストレスクリニックでは、うつ病かどうかが分かる「光トポグラフィー検査」や薬を使わない新たなうつ病治療「磁気刺激治療(TMS)」を行っております。
うつ病の状態が悪化する前に、ぜひお気軽にご相談ください。

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