強迫性障害

強迫性障害

私たちは、誰しも同じことを繰り返してしまうことがあります。

例えば、
台所から離れたときに「鍋にかけた火は消したかな?」
部屋を離れた際には「電気を消したかな?」
外出した際には「鍵をかけたかな?」
と不安になってまた元の場所に戻って確認する。

そんな経験をお持ちの人は多いでしょう。
しかしそのような行動が度を越しているという人がいます。戸締りを何度も確認したり、汚れが気になって手を何度も洗ったり、火のもとを何度も確認しても安心できないのです。
このような行動が強く出ている場合であれば、「強迫性障害」なのかもしれません。
このような行動が心の病気であると気付いていない人が多く、生活が不便になり辛さを強く感じてしまうことによって、うつ病を併発させている人も少なくありません。
ここでは強迫性障害がどのような病気であるのか、どのように対処していけばいいのかなど、詳しくお伝えしていきます。

同じ行為を繰り返す
「強迫性障害」

自分の意に反してネガティブなイメージが頭から離れない、自分でもわかっていながら何度でも同じ確認をくりかえしてしまう状態が続き、日常生活にも支障がでるほどの状態をいいます。
症状としては、抑えようとしても抑えられない強迫観念と不安を打ち消そうと同じ行為を繰り返す強迫行為があります。
強迫性障害は適切な治療によって治すことができる病気です。抑えようとして抑えられないことで、生活が不自由に感じているのであれば専門医に相談することが必要です。

強迫性障害とは

強迫性障害とはかつて強迫神経症と呼ばれていたもので、OCD(Obsessive Compulsive Disorder)と呼ばれることもあります。
強い不安やこだわりが現れるのが特徴で、下記のような行動がみられることが多くあります。
「トイレを済ませた後、自分が汚れているような気がして、いつまでも手洗いをしてしまう」
「外出先から帰宅した際には必ず一番にシャワーを浴び、着替えをしないと気が済まない」
「外出する際に玄関の鍵をかけたか不安になり、何度も繰り返し確認しても不十分である」
「調理をしたあとにガスの元栓を閉め忘れていないか、気になって何度も何度も点検する」
「不要な古新聞などを捨ててしまって後悔することを考えると、捨てられなくなってしまいため込んでしまう」
「大したことではないのに自分のルールに当てはめて、その通りにできていないと強い不安に陥る」
明らかに行き過ぎた・やりすぎた行為であり、自分自身でもやめようとしますが、うまくやめることができません。そのため生活において不自由さを感じたり、辛さを強く感じたりしている人が多くなっています。
我が国においてどのくらいの割合で強迫性障害となるのか明らかにはなっていませんが、世界的には人口の0.5%~2%であると言われています。
発症時期は10~20代の若者に多く、小児期から始まるケースもあります。

病気であると気付き、
適切な治療を行えば治る病気

欧米では、精神科外来に通う人の9%は強迫性障害であるというデータが存在します。しかしわが国での精神科外来での割合を調べたところ、4%程度であることが分かっています。
この数字の開きは、単純にわが国の強迫性障害である人が少ないというものではなく、自分自身が強迫性障害であるという自覚がなく受診していない人や、精神科に受診することをためらっている人が多いことが分かっています。
強迫性障害の原因はさまざまではありますが、症状が病気であると気付き、適切な治療を行えば治る病気です。
治療では主に「薬物療法」「認知行動療法」を中心に取り組みますが、症状の程度や現れ方は個人差がありますので、治療の効果も人によってまったく違います。
中には強迫性障害によって日々の生活においてストレスを蓄積させてしまい、うつ病を併発させている人もいます。そのような場合では、どんどん悪化してしまうことになりますので、専門医に相談し適切に治療を行わねばなりません。

強迫性障害の具体的症状

強迫性障害は単なる綺麗好きやこだわりの強さではありません。行為そのものの頻度が多く、常識的な行動であるといえません。
強迫性障害の具体的症状には、「強迫観念」「強迫行為」といった強迫症状が具体的に現れるのが特徴です。
それほど大して気にしなくていいようなことに強くとらわれるようになってしまうことや特定の行為を繰り返し行ってしまう行為がみられます。
強迫性障害にはどのような症状が現れるのか具体的に説明していきます。

強迫観念と強迫行為とは

「強迫観念」とは、その内容自体はそれほど気にしなくていいものであることは分かっていても、そのことが頭から離れずにとらわれてしまうことをいいます。
例えば外出する際に、玄関のカギをきちんと締めたかどうか気になって、何度も何度も確認します。帰宅した際には手の汚れが気になって、何度も手を洗いますが綺麗になった気がしません。
これらの行動のことを「強迫行為」と読んでいます。強迫行為は不安や恐怖を打ち消すための行動であって、そのために繰り返して同じ行動を行わずにいられなくなるというものです。
自分自身でもやり過ぎていることや何度やっても無意味なことは理解できていますから、これらの行動が辛くなり生きづらくしてしまうものになります。

強迫観念と強迫行為の種類

強迫観念と強迫行為にはいくつかの種類があります。よく見られる行為には以下のようなものがあります。

1、汚染と洗浄
強迫観念によって、自分の手が汚れているんじゃないかと不安が強くなり、手を洗わずにはいられなくなります。
汚染に対する強迫観念は、トイレの後、電車のつり革を持った後、など何かに触れた後だけではなく、単に外出から帰宅した際にも沸き起こり、延々と手を洗わずにはいられなくなってしまいます。
この汚染に対する強迫行為によって、手の皮がむけてしまうほど洗うこともあり、汚れが気になって外出ができなくなることもあります。
2、加害・危害
強迫観念によって加害が強くなることがあります。
強迫観念による加害は、危害が起きてしまう心配が強くなることをいい、自分に対するものだけではなく、他人に対するものを心配してしまう場合もあります。
自分に対する場合では、カッターなど刃物を見ただけでも「ケガをしてしまうんじゃないか」と不安が強くなってしまいます。
他人に対する場合では「人を傷つけてしまう」心配だけではなく、「人を傷つけてしまったんじゃないか」という心配が起きることがあります。実際にその人に会ってもいないのに、そのような心配が強くなってしまうのです。
3、確認
強迫観念によって一度確認しても不十分な気持ちになって、何度も何度も確認してしまうようになります。
外出時には「玄関の鍵をかけただろうか」、調理を終えた後は「鍋にかけた火を消しただろうか」、退室する際には「電気を消しただろうか」、電化製品を使い終えた後は「コンセントを抜いただろうか」と強く考えてしまい、気になって何度も確認します。
汚染が気になる場合では、何度も手を確認することもあります。
4、買いだめ・ため込み
強迫性障害の人の中には、買い物をし過ぎてしまったり、物を捨てることができずにため込んでしまったりする行為で悩んでいる人もいます。
「買い物依存」とは違い、買い物によって快楽を得たり、満足を得たりするのではなく、「今買わないとなくなってしまうのではないか」「物がなくなって困ってしまうんじゃないか」といった不安や恐怖にかられて行うものをいいます。
また買いだめと同様に「これを捨てたら困るんじゃないか」「二度と手に入らないんじゃないか」と心配してしまってため込みを行います。
買いすぎてしまうことによって経済的な問題が発生することもあり、罪悪感や自己嫌悪に陥ることも少なくありません。
5、配置・順序・対照性へのこだわり
物の配置にこだわりを持つようになり、それほど大きな意味がないにもかかわらず、そのルールでなければならないと当てはめようとします。
例えばいつも右端においておかねばならないとか、まっすぐに並べておかねばならないとか、左右対称にしておかねばならないといったようなものです。
その厳格なルール通りにしておかないと強い不安を感じるようになってしまいます。

強迫性障害の原因

強迫性障害の原因については、正確に掴めていないのが現状ですが、脳内の神経伝達物質の代謝が関係していると考えられています。脳内の特定部位の機能障害であるともいわれています。
もともと備わっている脳内の要因にあわせて、日常生活で起こるストレスなどが引き金となってしまって発症することもあるといわれます。
強迫性障害に見られる症状は、一つだけの原因で発症するものではなく、多種多様な原因や疾患によって引き起こされるものです。
そのため治療に関しても、その状態に応じた方法が選択される必要があると考えられています。薬物治療が中心となる場合もあれば、カウンセリングが中心となる場合もあります。

周囲・家族の対応について

強迫観念と強迫行為とは

強迫性障害に悩む人の大きな問題に、周囲・家族との関係があります。悩む姿を見て、つい手を貸し過ぎてしまったり、逆に本人のためだと考えて強すぎる態度で接してしまうことによって、本人のストレスが大きくなってしまうのです。
対応の仕方によっては、さらに症状を悪化させてしまうこともあります。
まず強迫性障害とはどのような病気なのか、正しく理解することが必要です。辛い思いをしているのは本人ですから、その気持ちを共有し寄り添うことが大事です。
強迫行為に干渉しすぎることをせず、病院の専門医から適切な指示を受けることが改善のための第一歩なのです。

強迫性障害の
可能性についてのチェック

悩んでいる症状があったり、家族や友人に症状がみられる場合、その症状が強迫性障害のものか確認してみるといいでしょう。
次の2つのうちに当てはまる症状はないでしょうか。

  • 1、頭に浮かんでくることが気になって仕方がない(汚れや戸締りなど)

  • 2、繰り返したり、強いこだわりで行わないと気がすまないことがある(手洗いや確認など)

この2つの症状のうち、どちらかもしくはどちらも当てはまり、
「こだわりすぎている」「不快である」「悩んでいる」
ということであれば、強迫性障害の可能性があります。
ぜひ、早めに専門の医療機関の精神科・心療内科にご相談ください。

強迫性障害の具体的治療方法
(治療薬の効果)

強迫性障害は適切に治療を行えば、改善が期待できる病気です。治療には一般的に「薬物療法」「認知行動療法」が用いられることが多いです。

強迫性障害に対する薬物療法

強迫性障害で悩む人の多くに強い不安感を抱えていることがあります。うつ病を併発されている人も多くいますから、そのような場合では抗うつ薬によって治療を行われます。
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)などを活用することによって、脳内の神経伝達物質であるセロトニンを調整していきます。
ただ強迫性障害はさまざまな原因によって発症しますから、薬物治療によって早い段階で症状が軽減する人もいますが、なかなか効果が現れない場合もあります。本人の様子を観察しながら、服用量を調整していくことになります。

強迫性障害に対する認知行動療法

認知行動療法は心理学を用いた治療法であり、「曝露反応妨害法」が代表的な治療法となっています。
強迫観念が起きても我慢するという方法で、その方法を繰り返し行うことで、少しずつ不安が軽減されていくというものです。
例えば手の汚れが気になっているとしても、手を洗わずに我慢します。外出して鍵を閉めたか不安であっても、確認せずに戻らないようにします。

強迫性障害は
うつ病を
併発していることが多い?
~新宿ストレスクリニックに
ご相談を~

強迫性障害は、自分自身でもわかっていながら意思とはうらはらに不合理な考えがエスカレートし強迫行為を止めようと思っても自身の安心が得られるまで強迫行為を止めることが出来ない症状です。
そのため不安感がとても強くなりストレスを積み重ねてしまい、うつ病を併発させてしまうことが多くあります。うつ病を併発すると苦痛がより強くなり、治療にも多くの時間を要します。
不調な症状が長く続いている場合であれば、自分自身や家族などの力では解決することが難しく、適切な治療を必要とします。
新宿ストレスクリニックでは、新しいうつ病治療法「磁気刺激治療(TMS)」を採用しています。副作用の心配がなく、抗うつ薬での治療と比べ比較的短期間で効果を実感することができます。
うつ病を併発しているか不安な方は、新宿ストレスクリニックにぜひご相談してみてはいかがでしょうか。

本 将昂

【監修】本 将昂医師

2011年京都大学医学部卒業。現在、新宿ストレスクリニックの名古屋院院長。それぞれの患者さんにとって何か最善であるかを考え、患者さんfirstの精神で治療を行います。
精神保健指定医 日本精神神経学会認定精神科専門医

■関連リンク

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